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はじめに
 今年1月、東京教区の姉妹教区であるメリーランド教区から、この夏に平和のために共に祈ろうという呼びかけが届きました。
 これに応えて東京教区宣教委員会は「戦後50年ワ−キンググル−プ」を発足させ、取り組みを始めました。
 去る8月6日の主イエス変容の日に当たった主日には、各教会の礼拝で用いるよう平和を求める特祷、聖書日課、代祷などを用意し、「平和を願って、これを追い求めよ」と題する主教のメッセージと共に、各教会に配付いたしました。

 そして、9月9日には、聖オルバン教会で教区礼拝「平和を祈る夕べ」を持つことになりました。

 この礼拝は、かつては敵どうしとして戦い傷つけ合った日本人とアメリカ人、フィリピン人、韓国人などが共につどい平和を祈りました。

 第二次世界大戦後50年とは、日本が、アジアの国々を侵略し、国土と人々を踏みにじり、また欧米諸国と闘い、膨大な犠牲の上に敗戦を認めてからの50年です。

一人一人の人生に刻まれた戦争体験があります。戦後生まれの世代にとっても、聴き続け、語り継ぐべき戦争の歴史があります。

 そして私たちは今年「戦後50年」をこれからの取り組みの出発点としてとらえています。

教区時報と共にお届けした、戦争体験の証言を集めた「平和を祈る」は、その一つ一つが痛みと苦しみの記録であり、平和への祈りそのものです。

 私たちが戦争を体験したひとりひとりの声に耳を傾け、それを読むひとりひとりが自分の物語を語り始めるきっかけになるとすれば、これこそが「戦後50年」から始まる私たちの取り組みの大きな果実といえるでしょう。

 かつての敵国であったアメリカの兄弟姉妹と共に、また私たちの侵略の犠牲となったアジアの国々の兄弟姉妹と共に、今神様の前で事実を見つめなおし、罪を悔やみ、また嘆きつつ、新しい出発に向かう決心が与えられるように、祈りたいと思います。
1995年11月1日
東京教区宣教委員会
戦後五〇年ワーキンググループ
執事 山野 繁子


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