2004年6月6日  三位一体主日・聖霊降臨後第1主日 (C年)



執事 サムエル 奥 晋一郎

 本日の福音書はヨハネによる福音書第16章12節から16節までの箇所です。この箇所ではイエスさまが十字架に架かるという苦難の前に、弟子たちに語った別離の説教の一部です。この箇所では「真理の霊」について書かれています。まず、イエスさまはご自身が天国に昇った後、「真理の霊」が父である神様から遣わされていることを弟子たちに語ります。 そしてイエスさまは、その「真理の霊」が、イエスさまがこの世を去ってから、イエスさまに代わって父である神様の業を示し、イエスさまの栄光を人々に告げ知らせる役割を担うことを語ります。また、イエスさまは弟子たちに、12節に書かれている「今」、すなわち弟子たちがイエスさまとの別れを悲しむ「今」この時には、弟子たちが「真理の霊」が来ることを理解できないであるとも言っています。しかし、父と子と聖霊が一つとなって信じる者を導き、絶えず心配りをしていることを告げます。
 その結果として、後に十字架に架かり、復活し、地上を去り、天に昇られたイエスさまとのお別れを悲しみ、当時の権力者を恐れていた弟子たちは父と子と聖霊の交わりによって、イエスさまを以前よりも親密な存在と考え、希望を持って宣教の旅に出かけていったのでした。
 12節で書かれた「今」は弟子たちの今だけを表しているのではありません。「真理の霊」が必要である「今」です。これはヨハネによる福音書が書かれた時代、さらにイエスさまを信じる者の「今」を表します。このことから、私たちすべての人の「今」を表しているといえると思います。
 私たちの「今」、日々過ごしている日常生活において、時にはつらい事、悲しいこともあるかもしれません。希望を持つことを忘れてしまうこともあるかもしれません。しかし、そのような「今」、日々の生活の中にあっても、神様は本日の福音書に登場する「真理の霊」すなわち聖霊を与えて、わたしたちを守り、支えてくださっていることを覚えることが大切であると思います。
 本日は父と子と聖霊として啓示された三位一体の神様の働きを振り返る主日、三位一体主日です。この日に私たちは直接には目に見えないが、共にいてくださる、三位一体の神様のことを覚え、希望を持って生きていくことが出来ればと思います。