2005年11月13日  聖霊降臨後第26主日 (A年)


司祭 セオドラ 池本則子

あなたは神様からいただいた賜物を知っていますか?

 「あなたは自分の良い点を知っていますか?自分の優れた能力、才能を知っていますか?そしてそれを用い、生かそうとしていますか?」
 私たちは誰一人例外なく、長所と欠点の両方を備えています。得意なこと、不得意なことが誰にも必ずあります。欠点のない何でもできる完璧な人間は存在せず(完璧な存在は神様だけです)、しかし神様から愛されている私たちは誰もが神様から良い賜物を与えられています。マタイによる福音書25章14節以下に記された「タラントンのたとえ」では、神様から与えられた賜物を用いているのか、生かしているのかを問われています。
 私たち人間は不幸なことに、どうも長所よりも欠点の方が目に付くようです。自分のことでも、あるいは人に対しても長所より欠点(というより、自分の気に入らないところと言った方がいいかもしれませんが)を見つける方がたやすいようです。また、人と比べて自分に長所や優れた能力、才能が少ないのを嘆いたりします。とんでもないことです。神様はあふれるばかりの賜物を一人一人に豊かに与えてくださっているのです。
 たとえの主人は僕たちそれぞれの力に応じて、5タラントン、2タラントン、1タラントンというお金を預け、旅に出かけました。最初の2人はそのタラントンを十分に用いてさらに増やしました。しかし、1タラントンの人は地の中に隠して用いることをしませんでした。主人は旅から帰って来た時、最初の2人を「忠実な良い僕だ」と褒め、1タラントンの人を「怠け者の悪い僕だ」と叱りました。
 タラントンとは能力、才能という意味を持つ言葉です。神様から与えられたタラントン、それは神様からの賜物です。神様は私たち一人一人に違った賜物を与えてくださっています。それは、量の問題ではありません。それぞれにふさわしい賜物が与えられているのですからそれで十分です。肝心なことは、自分に与えられた賜物をどれだけ認識し、用いているか、生かそうとしているかです。その時、神様はそれを祝福してくださるのです。もし、私たちがそれを用いなければ、生かそうとしなければ、「怠け者の悪い僕」になってしまいます。
 「宝の持ち腐れ」という言葉があります。神様から与えられたタラントンは宝です。せっかく与えられたタラントン、宝を土の中に埋めて用いなければもったいないし、ましてそれを与えてくださった神様に対して失礼です。
 神様から愛されているあなた!神様からいただいたタラントン、宝を知って、それを見せてください。そして、私も神様から愛されているのですから、神様からいただいたタラントン、宝を知り、誇りを持ってそれを示すことができるような人でいたいと思います。