2009年5月17日   復活節第6主日 (B年)

 

司祭 ミカエル 藤原健久

たった一つのこと【ヨハネによる福音書15:9−17】

 「父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛してきた。…あなたが私を選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。…互いに愛し合いなさい。これが私の命令である。」本日の福音書のみ言葉は、どれも大変重要だ。今週の水曜日には昇天日が祝われる。復活されたイエス様が地上を離れ、天に昇られたことを祝う日だ。だから今日語られるみ言葉は、地上での最後の言葉、いわば「遺言」のようなものである。イエス様は、短くても重要なメッセージを私たちに語られている。
 「キリスト新聞」5月2日号に、西原廉太司祭による大変大切な文章が載った。「無条件の愛を伝えること」と題された文章をかいつまんでみると…西原司祭の娘さんが卒業されたキリスト教の高校に、M君という車いすの生徒がいた。彼は仲間と共に学校生活を楽しんでいたが、白血病にかかり、高3の秋から学校にも来られなくなった。卒業式の日、彼は体育館で行われた式典には出られなかった。しかし式の直後、クラスメートが教室に集められた。そこにはストレッチャーに乗ったM君がいた。教室でM君のための卒業式が行われたのだ。その3ヶ月後、彼は天に召された。けれどもM君はみんなの心の中で生き続けている。西原司祭は次のように記す。「『キリスト教学校の使命』とは、実はそれほど難しいことではない。ただ、一人一人の生徒や学生に、『あなたの存在こそが大切である』ことが伝えられれば良いのだろう。そして、『あなたの存在が大切にされているように、あなたもあなたの隣人を大切にしなさい』という福音が伝えられれば、きっと十分なのだろう。」
 イエス様はその言動で私たちに多くのメッセージを遺された。けれどもそれらは実はたった一つの事を私たちに伝えている。それは「愛」それも「無条件の愛」である。神に愛され、人を愛する。私たちには愛する力が備えられている。愛は賜物である。愛の道を感謝して歩みたい。