2010年2月28日  大斎節第2主日 (C年)


司祭 ミカエル 藤原健久

本当の幸せが待っている【ルカによる福音書13:22−35】

 イエス様の宣教の生涯は、旅の日々だった。目的地はエルサレム。エルサレムはイエス様が十字架に架けられた場所だ。イエス様の旅は、十字架への旅だったと言える。
 「十字架の旅」は「不幸」な旅だったのだろうか。私達は知っている。イエス様の旅は十字架で終わらず、復活へとつながった事を。死で終わりではなく、永遠の命を迎えたのが、イエス様の旅だった。
 私達は人生の旅路を、無事に安全に歩めるように、願い祈る。悪いことが起きないように願い、嫌なニュースを聞くと、不安になる。けれども、人生の旅には、良いことだけでなく、悪いことも起こる。そのような旅は「不幸」な旅なのだろうか。「失敗」なのだろうか。
 そもそも、「幸せ」とは何だろうか。富や名声を得ることか。健康で長生きすることか。確かにそうであれば嬉しいが、それが「幸せ」の絶対条件かというと疑問が残る。結局、私達は、「幸せ」を判断する、絶対的な価値基準を持ち得ていないのである。
 ここで思い出さなければならないことがある。私達の旅は、自分で勝手に始めたのではないと言うことを。この旅は、神様の命令によって始められたのだ。ならば、この旅は必ず祝福されている。神様が、災いを用意するはずがない。神様は私達に、本当の幸せを用意しておられるのだ。それが具体的に何かは分からない。きっと、私達の想像を超えたものだろう。けれども神様は、必ず本当の幸せを用意してくださる。
 そうならば、後は私達にできるのは次のことだけである。心を前向きにし、しっかりと歩むこと。不安を抱く必要は何もない。多少は苦しいこともあるかも知れない。たまには我慢が必要かも知れない。けれども、この旅路に果てには、必ず本当の幸せが待っているのである。本当の幸せに出会う日を、楽しみにしながら、じっくりと歩みたい。