2014年4月27日      復活節第2主日(A年)

 

執事 ダニエル 鈴木恵一

 先週の復活日に読まれる福音書は「空っぽのお墓」にその焦点が当てられていました。

 その「空っぽのお墓」の出来事を知った弟子たちは、復活されたイエスさまに出会います。目に見えないけれども確かにイエスさまがそばにいてくださるという経験です。それが今日の福音書に記されている出来事です。

 弟子たちは、従ってきたイエスさまが殺されてしまい、自分たちも捉えられてしまうかも知れないと恐れ、1つの家に閉じこもっていました。中から鍵をかけて、この恐ろしいときが過ぎ去るのを、息を潜めて待っていました。

 恐怖はわたしたちの心をとらえ、周囲の人々との関係を断ち切ってしまうほど、私たちの心を引き裂いてしまいます。弟子たちが、家の戸の鍵をかけてしまったように、わたしたちも恐怖を前にすると、そして、神さまに助けを求めることすらも忘れ、心を固く閉ざし、自分の心と体を守ろうとします。

 そんなおびえる弟子たちの真ん中に イエスさまが来られ「あなたがたに平和があるように(シャローム)」と呼びかけられました。シャロームとはヘブライ語の言葉で、日本語の「こんにちは」に当たるような日常のあいさつの言葉です。親しみのこもった呼びかけであると同時に、不安でいっぱいだった弟子たちにとっては、「何も恐れることはない。イエスさまがともにいてくださる」と、平和の宣言と受け取ったのではないでしょうか。

 わたしたちキリスト者は、聖餐式の最後に「主とともに行きましょう」という派遣の言葉とともに この世界への歩みを始めます。ご復活のイエスさまに出会われた弟子たちの思いを重ねて、この派遣の言葉を思い起こし、ともに歩みを進めていきたいと思います。