2018年3月11日      大斎節第4主日(B年)

 

執事 アンデレ 江渡由直

5千人に食べ物を与える、「イエスの感謝、私たちの感謝」
【ヨハネによる福音書 第6章4節〜15節】

 今週の「5千人に食べ物を与える」という奇跡物語は、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4福音書すべてに見ることができます。
 イエス様が多くの病人たちを癒すという「しるし」を見た大勢の群衆は、イエス様を追いかけてついて来ました。〔ヨハネ福音書ではイエス様のなさった奇跡を「しるし」と呼ぶことも特徴の一つです。〕イエス様はこの群衆を見て「この人たちを見て食べさせるには、どこでパンを買えばよいだろうか」と弟子たちに問いかけられます。フィリポは「一人一人に軽食を配っても、200デナリオン(通貨:1デナリオン=1日の賃金相当)のお金があってもとうてい足りないでしょう」と食べ物を取寄せるための悲観的な状況を訴えて無理だと答えました。アンデレは少年を連れてきて、「この少年はパン5つと魚2匹を持っていますが、こんなに大勢の人では何の役に立たないでしょう。」と答えました。
 しかし、イエス様は「どうせ役に立たないだろう。」と出されたパン5つと魚2匹が役に立つと、しっかりと受け取られました。そして、神様の前に献げ、感謝し、祈って下さったのです。このイエス様の感謝は、パンと魚を持っていた少年への感謝であり、役に立たないだろうと思いつつもこの状況で自分の出来ること考えて少年を連れてきたアンデレへの感謝であり、これらの事柄への神様への感謝でした。そして、イエス様の祈りによってパンと魚を多くの人々に欲しいだけ分け与えられるということが起り、彼らは満足しました。ここでも多くの人々は、イエス様の「しるし(奇跡)」を見たのです。
 私たちも、この5千人の中に招き入れられているのです。私たちが献げるものはわずかなものですが、それでも役に立つのです。イエス様は感謝してそれを受け取ってくださいます。そしてイエス様は祈り、新しい命、励まし、喜びを私たちに与えて養ってくださるのです。
 このように乏しいものも喜びに生かしてくださるから、私たちには自然に感謝が出ます。感謝せずにはいられないのです。

「どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなた方に望んでおられることです。」(テサロニケの信徒への手紙1 5:18)。

主に感謝