月報巻頭言

16      債務帳消しキャンペーン・ジュビリー2000と私たち(2000.6)
この運動は1990年にアフリカ・キリスト教協議会が提起し、96年英国教会が取り上げ、世界に広がって行った動きです。ジュビリーはレビ記のヨベルの年から来ています。「50年目の年を聖別し、全住民に解放の宣言をする。それがヨベルの年である」(25:10)。奴隷は解放され、神から与えられた土地はその所有者に返却されます。その精神は人がその同胞を搾取、抑圧することがないようにということでしょう。
 レビ記は貧困が人と人との関係の中で起こってくることを示します。そしてそれは今の私達の生きている社会でも起こっていることです。重債務最貧国とされる41ヶ国程の国では毎日2万人を超える子どもたちが債務のために死んでいくといいます。保険医療費の何倍ものお金が債務返済につぎ込まれるからです。4月来日されたウガンダの聖公会司祭ニリンギエさんは「ウガンダでは生まれた1000人の赤ちゃんのうち180人は5歳まで生き延びることができません。48%の人しか医療機関に通えず、54%の人が安全な水を得ることができません」と語った。 現在、日本の持っているアフリカに対する債務総額は約9000億円と言われていてそれは沖縄・名護に作ろうとしているヘリ基地と同額、日本長期信用銀行に救済策として投入された「公的資金」とほぼ同額です。日本は9000億円程のODA債務を一挙に帳消しにするのではなく、40年かけて帳消しし、浮いたお金を日本が示す品物や企業に限定して使うことを条件づけています。
 債務を即刻帳消しにすることは今緊急に必要な人道的措置なのです。ジュビリー2000やランベス会議は帳消しの行方を監視する必要を訴えており、今飢え死んでいく人々にとって最善の方法を模索しています。
 ニリンギエ司祭は言います。「債務帳消しが今必要なのです」。私たちは力のある国々が言う帳消し運動にではなく、今打ちひしがれている人々の声に応える者でありたいと思います。運動は他人任せで済ませられる内は本当には関わったことにならないのかもしれません。矛盾や泥を引っかぶりながら声なき声に耳を傾けつつ、動き出す時に、初めて世界が直面している未曾有の悲惨な世界に気づかせられるのです。
 

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Last updated: 2002/2/17

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