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日本聖公会各教区報のなかから
☆毎月、広報主事宛に送っていただく各教区報のなかからご紹介しております。

主教選挙について

神戸教区報『神のおとずれ』

(第54巻第7号・2003622日発行)

 日本聖公会での聖職者の定年制は、故八代斌助主教が初代の首座主教に選出された1968年の第29総会で、実施に踏み切られた。定年制については、聖職志願者の増加傾向や世代交代の必要などでかなり早くから議論されていたが、結局は定年制を実施するために必な退職後の保障としての年金制度が米国聖公会の援助により可能になったからであった。

日本聖公会法規第12条(教区主教の定年退職・辞職)1に、「教区主教は、満70才に達した後最初の3月31日または満70才に達した3月31日に定年となり、退職する」とあり、司祭・執事についても同様の規定ができたのである。私の場合、今年の11月l8日に満70才を迎えるので、来年の3月末日をもって定年退職となり次期主教選出のための臨時教区会が、来年2月11日(水・建国記念の日)に開催されることになっている。


 主教選挙についての法規を簡単に説明すると、まず被選挙資格は「満30才以上の司祭または主教」で、教区会で選挙することになっている。必ずしも教区内の聖職に限られていないこと、その是非は兎も角、既に他教区の主教でも被選挙資格があることを知っておきたい。

 「教区主教選挙規定」については、「日本聖公会法憲法規」に詳しいが、選挙は選挙日の当日、議場で推薦された候補者について聖職議員と信徒代議員が各別に投票が行われ、「同一の回の投票で、聖職議員および信徒代議員れぞれの出席者の3分の2以上から得票した者を、当選者とする」と規定されている。これによって当選者を得なかった場合、もしくは当選者が就任を受諾しなかったときには、3カ月から6カ月の間に、再度の教区会を開き選挙が行われる。2回の教区会を経ても当選者が得られないときは、選挙は日本聖公会総会で行われる。最近の例では、東北教区は第l回の選挙で、京都教区は第2回目の選挙で、大阪教区の場合は総会に持ち越されて当選者を得たことをご存じと思う。

 候補者の推薦は、「出席している教役者議員もしくは信徒代議員、または教役者議員および信徒代議員3人以上によって、各自が署名した書面でなされ」、「推薦した者は選挙場で当該候補者の履歴を簡潔に報告する」に留められ、説明や討論はできないことになっている。候補者が選挙場ではじめて分かり、しかも簡単な履歴の他は報告できない規定は、教区会の場合はいいとしても、管区の総会での選挙には問題がないとはいえない。候補者の推薦にしても、当該者に予め承諾を受けることが常識で当然のことと思われるが、その場合推薦したい人物は得てして辞退される方が多いことを考慮せざるを得ないことになる。教区主教の選挙は2回だけに限定しないで、あくまで当該教区会で続けるべきとの意見もあるが、教区会開催の出費の問題と共に、教区内に様々な亀裂、禍根を残す危険を避ける配慮の必要を考えなければならないのである。若年で主教になった場合、定年までの期間が長く、途中で教区を変わったり、教区主教を退職することについての規定が必要ではないかなど、現行の法規にはまだまだ考慮すべき問題を抱えていて、今後の緊急な課題になっていることも事実である。

 しかし、どのような事情や問題があるとしても、公会が祈りをもって準備し、正規の手続きにより、聖霊の導きを祈り願いながらなされた選挙と果には、すべて神のご意思が在ることと信じ、 忠実に受け入れ従うことは当然のことであろう。

神戸教区の主教選挙を来年に控えて、主教も教区ももっと啓蒙に力を注いで欲しいし、どのような方が主教として相応しいか、前任者として経験から教えて欲しいという声を聞くことが多くなった。大事なことだと思う。主教とは何か、主教の働きは何かについて、各教会で牧師の指導の下に早速勉強を始めていただきたい。また「法憲法規」をテキストに、教区主教選挙規則について学んでいただきたい。どんな方が次期主教に適任であるかは私にも分からないし、言うべき立場にないが、これまで11年間在任した私を通して次期主教はどのような御方であって欲しいか、という判断の材料をすでに皆様に提供していることと思っている。

(主教 古本純一郎)

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