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【海外出張報告】
MJMの研修に参加して @
(MJM:メトロポリタン・ジャパニーズ・ミニストリー)
神戸教区 執事 ペテロ 中原 康貴
まず、研修の内容は以下のようなものでした。

10月

15時過ぎに入国。夜、NYで唯一の建物を持つ日本人教会(日米合同教会)にて、三浦光世氏の講演を聞く。チャイナタウンにある教会Our Saviorに宿泊。

23木

午前、HIV感染者のケアをしている施設を訪ね、そこで働いている日本人のチャプレン(バプテストの牧師)と面談。午後、メトロポリタン美術館。

15水

16木

自由。グランドゼロをはじめ、NYの有名な所を巡った。

24金

午前Our Saviorからジェネラル神学校に宿泊先を移動。午後、米国聖公会本部を訪問。青年担当の人と面談。

17金

カテドラルを訪問。米国聖公会管区の聖職養成担当コンスタンス司祭と面談。

25土

NY教区主催のdoing church(80以上のワークショップが用意されている)に参加。夜、MJMがウエストチェスターで行っている聖書会に参加。

18土

MJMがプリンストンで行っている聖書会に参加。

26日

午前、All Angels(ローチャーチ)で聖餐に与る。夕方、Our saviorの30周年記念イベントに参加。

19日

午前St.Mary the Virgin(ハイチャーチ)で聖餐に与る。午後MJMの聖餐式で説教。その後、茶話会。

27月

午後、ウエストチェスターのSt.James the Lessの牧師と面談。夜、ロイド司祭宅で夕食。

20月

バスでボストンへ。SSJE(ヨハネ修士会)でリトリート。

28火

自由。マンハッタンにある聖公会の教会を訪ねた。

21火

リトリート

29水

早朝、神学校を出発。正午、出国。

22水

午後、リトリート終了。ボストン美術館によってから、NYへ。

30木

夕方、帰国。


 のたびの研修に参加してまず分かったことは、MJMが米国聖公会の中の日本人教会ではないということでした(ただの勉強不足かもしれませんが、私はMJMが日本人教会だと思っていました)。メンバーの多くはそれぞれ米国聖公会のどこかの教会に属しており(求道者や他教派の人もいます)、ニューヨークを中心とした在米の日本人への宣教の一環として、日本聖公会と米国聖公会の協力によって組織されているのがMJMでした。しかし、MJMという存在をよく知らなかったのは私だけではないらしく、研修に参加する前に多くの人から「MJMって何?」という質問を受けました。多分、MJMというものを知らない人の方が日本聖公会では多いように思います。そういった意味でも、まずこのMJMというのがニューヨークを中心にしてどのような活動をしているのかを、今後もっと多くの人に知ってもらう必要があると感じました。

 JMの活動は、主に日本聖公会の祈祷書による礼拝とバイブルシェアリングを中心にした聖書会で、その他にもボランティア活動やヨーガクラスまで開いているようです。MJMは独自の建物を持っていないので、礼拝は二つの教会の礼拝堂を借りて行われ、聖書会は多くの場合誰かの家で行われています。日本においては宣教と言えばすぐに独自の建物の必要性が大きく取り上げられますが、MJMではそれがなくてもしっかり宣教していましたし、それはまさに初代教会の宣教を思わせました。

 のMJMの活動の中でも、彼らが重要としているのが聖書会のようです。この聖書会は、従来の教役者が信徒・求道者に向かって一方的に聖書の解釈をする聖書研究ではなく、聖書を用いて参加者が交流を深めることを第一としたバイブルシェアリングの形が取られていました。私も家庭集会ではよくバイブルシェアリングを用いますが、その効果というのは日本にはないものがここにはあるように思いました。それは、日本語だけではなく英語も絶えず飛び交う聖書会で、私がある方に「本当に英語が上手ですね」と言ったとき、その人は「けれど本当に伝えたいことはなかなか英語だけでは伝えきれない」と答えられたのです。どれほど長い間、米国に滞在していても、やはり母国語でなければ伝えきれない思いというのがあることを知らされました。そして、その心の深いところにある思いを、聖書をもとに神様の導きによって、互いが素直に語り合えるのがMJMの聖書会であり、だからこそMJMでの聖書会は参加者にとってより重要なのだと思いました。

 JMのこれらの活動が教会として行われているのならば、もしかしたら小さく纏まる閉鎖的なグループを生み出していたのかもしれません。しかし、彼らが普段米国聖公会の教会に所属して生活している、という背景を持っていることによって、閉鎖的ではない・より開かれた可能性を秘めた宣教活動をこれからも行っていくことができるのだと思います。現在、MJMでは聖公会神学院を卒業した景山恭子さんがミッショナーとして働いておられますが、今後現役の日本人聖職者が専属のチャプレンとして更に与えられるならば、よりその活動に深みを増すのではないかと思いました。

 う一つ、このたびの研修で私たちの希望で訪れさせて頂いたのが、ボストンにあるヨハネ修士会でした。日本には聖公会の男子修道会が今はないので、是非米国聖公会にある男子修道会を見てみたいと思ったのです。ヨハネ修士会では、以前小山の修道院におられたデービット・アレン神父が私たちを日本語で迎え、いろいろとお世話してくださいました。

 のヨハネ修士会では月に4・5回、様々なテーマの黙想会が修士会の指導のもと開かれ、それには聖公会員だけでなく他教派の人も参加し、多くの人々の多様な心の渇きに答える場が作られているようです。また、修士会のメンバーの中から現役のマサチューセッツ教区主教が選び出されており、修士会が教区の霊性の源となっていることを表していました。最近、よく「日本の教会には霊性が欠けている」ということを耳にします。今一度、日本聖公会に男子修道会が誕生することを日本聖公会全体として祈り求めるべきではないかと思いました。

 の他にも上に書き出したプログラムにあるように、様々なものを目にし、肌で感じることが出来ました。アメリカにおいてもキリスト者は年々減少し、米国聖公会も小さな教派となりつつあるようですが、それでも教会というものが地域の特別な存在ではなく、人々にとって親しみ易い存在として在ることを目にし、そこから日本にはない多くのことを学ばされました。今まで日本の聖公会しか知らなかった私にとっては、このたびの研修は本当に実り多いものとなりました。この研修が今後、信徒をも対象にして続けられることを願います。(松山聖アンデレ教会 牧師補)

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