日本聖公会
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■管区事務所だより第205号もくじ■

Page1 □新しい協働を求めて □世界教会協議会(WCC)第9回ポルトアレグレ総会報告 □第50回国連女性の地位委員会およびIAWN会議報告 □公示 2005年教区会選出総会代議員
Page2 □会議・プログラム等予定 □主事会議・神学院 □人事・移動 


 
管区事務所だより
2006年3月25日 第205号
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新しい協働を求めて
 世界教会協議会(WCC)第9回ポルトアレグレ総会報告
第50回国連女性の地位委員会およびIAWN会議報告 □公示 2005年教区会選出総会代議員

新しい協働を求めて

管区事務所総主事 司祭 ローレンス 三鍋 裕
   昨日(3月21日)から、韓国からのお客様をお迎えしています。40歳を過ぎてから神学校に行かれて、今は伝道師。お子さんの教育の問題など、これから解決していかなければならない問題も少なくありませんが、ご相談がまとまれば近い将来日本聖公会で協働者として働いていただきたいお方の一人です。現在すでに7人の韓国の方が教役者として日本聖公会で働いておられます。皆さん、「慣れるまで本当に大変だった」とおっしゃっておられます。それぞれに良き働きを担ってくださっているからこそ、大韓聖公会からもっと助けていただきたいとお願いしている次第です。

 しかし、教役者が不足だから韓国から助けに来て欲しいと言うだけでは寂しい気がするのです。異なる文化の中で育っていますから、感覚の違いもあります。しかしお互いの違いを認めながら、理解を深めようとするときに新しい喜びが与えられると思うのです。皆が同じように考え、同じように感じるとしたら、つまらないと言うよりも恐ろしい気さえするのです。違いを尊敬し合うことの素晴らしさを求めて行きたいと思うのです。そして、認識の違う相手を尊ぶことは、日本の教会同士にも必要です。

 言葉の問題も大変ですね。今日は韓国からのお客様を、やはり韓国から来ておられる方が勤務している教会にお連れしようとしました。予め電話をしておいたのですが、文字どおりの「言葉の行き違い」がありました。慣れておられると思って油断しました。私たちがその教会を訪ねたとき、彼は管区事務所に向かっていました。丁寧に話し、確認するべきでした。幸い信頼関係がありましたので、お互いにわびて笑って済ませましたが、海外からの協働者と新しい教会を作ろうというときには心すべきことと思わされました。英米からの宣教師に比べて、漢字が分かるだけ韓国からの方は少しは楽かもしれません。しかし顔つきが似ているので、「日本人と同じはずだ」との思い込みを持ってしまう危険があります。共通点も多いけれども、違いも多いのです。繰り返しになりますが、違うからこそ理解し合い、時には許し合い、お互いに深められることを求めたいのです。

 昨日は宿舎の都合もあって、我が家にお泊りいただき、ゆっくりとお話ができました。ゆっくりでないとお互いが理解できません。「タバコはお吸いになりますか」。「若いときには吸いましたが、やめました」。「お酒は召し上がりますか」。「嫌いではありませんが、あまりクセが良くないので飲みません」。なんとも耳の痛い言葉です。「お宅では奥さんと先生と、どちらが偉いですか」。まったく余計な質問ですが、家族も一緒に夕食をしていて、お互いの家族のことが話題になったからです。「それは妻です。私が仕事をやめて神学校に行っている間、学院(学習塾)の先生をして支えてくれましたから。妻のほうがずっと上です」。韓国の男性は外では威張っているけれども、家庭内ではそうでもないそうです。

 勤務教会はソウル市内で、ご自宅から50キロ、車で50分とのこと。ソウル市内は家が高いから、郊外のマンションに住んでいるそうです。それにしても50キロを50分とは猛スピード。「朝早くて道が空いているから」。「4時半に起きて6時の礼拝から始まるので」。「そんな早い礼拝に来る人はいるんですか?」「15人くらいは来ます」。日本ではとは聞かれなかったので助かりました。教会にご案内しても、先ずお祈りから始まります。私が忘れかけていた霊性というものを感じさせられます──大斎節の後半になって。韓国の教会全体がそうなのでしょう。英国人が韓国の教会を訪問して「昔のままの教会だ」と驚いたそうですが、古くからの良き伝統を大切にしながら社会における教会の責任も果たそうとしているようで、私たちには学ぶべきことの多い教会に思えるのです。この伝道師さん、将来日本で働きたいと、休み休みではあるけれども10年間日本語を学び続けているそうです。色々な難しさがありますので、今回彼自身の願いが実現するかどうかは分かりませんが、日本と韓国の教会の交流が深まることを願って止みません。そして「4時半に起きる」のは無理にしても、それぞれの生活の中で残り少なくなった大斎節を大切に過ごそうではありませんか。




世界教会協議会(WCC)第9回ポルトアレグレ総会報告

司祭 西原 廉太
(立教大学教員/中部教区司祭)

 WCC第9回総会が、2月14日から23日まで、ブラジル南部のポルトアレグレ市にある教皇立カトリック大学を会場に開催された。参加者は、プロテスタント、正教会、聖公会、合同教会その他の348教会、691人の代議員を中心に、スタッフやスチュワードも入れると4千人を超える文字通りの「世界会議」となった。日本からは、大宮溥(日本基督教団)、上田博子(日本基督教団)、朴寿吉(在日大韓基督教会)、渡部信(日本聖書協会)、山本俊正(日本キリスト教協議会)、西原廉太(日本聖公会)の諸氏が参加した。

 1948年にアムステルダムで発足したWCCは、その後、6年から8年の間隔で総会を開催してきた。WCC総会は、エキュメニカル運動史にその都度大きなインパクトを与えてきたものであり、そこで議論され決議された内容が、以降の世界教会の方向性を規定することも少なくない。今回の第9回総会は、そのテーマを『神よ、あなたの恵みのうちに、世界を変革してください』とし、21世紀最初のWCC総会としての自覚を十分に認識しながら進められた。WCC中央委員会議長である、キリキヤ・カトリコス正教会のアラム?世が、威厳を込めて、世界教会協議会総会の開会を宣言したが、信仰職制委員会には正式参加しているローマ・カトリック教会も含めて、世界中にあるほとんどの教会代表が集うこの会議が、まさに、「エキュメニカル公会議」なのだということを改めて実感した。

 前回の第8回総会がジンバブエのハラレで開催されたのが、1998年。この7年あまりの間に、世界は何を経験したか。それは、2001年の「9・11事件」と、その後の米国を中心とするアフガニスタン、イラクへの「報復」戦争であり、また、パレスチナでの武力による人権弾圧であった。前回の総会で、世界教会は、「あらゆる暴力の克服」を宣言したにも関わらず、最大の暴力である「戦争」を、世界教会は結果として止めることができなかった。その深刻な反省と、二度と新たな戦争を起こさせないという重大な決意の中で、今回のポルトアレグレ総会は行われた。

 ポルトアレグレ総会の一つのハイライトは、アパルトヘイト撤廃運動指導者でノーベル平和賞受賞者でもある、デズモンド・ツツ、南部アフリカ聖公会前大主教の登場であった。ツツ大主教は、アパルトヘイト撤廃闘争において、WCCがいかに大きな貢献を果たしかを指摘した上で、「アパルトヘイトがなぜこれほど長く続いたのか。それは、教会が分裂していたからだ」と強調する。また、「この世界に住むすべての者がインサイダー(内なる者)であり、アウトサイダー(外なる者)はただの一人もいない。皆、神に愛されている者たちだ」というツツ大主教の言葉は、シンプルであるが実に重要なメッセージであった。

 21世紀最初のWCC総会で確認されたことは、WCCが1970年代に果たした人権・正義・平和という課題をめぐるグローバルな働きを、今一度、世界教会は果たしていくのだという重大な決意である。ツツ大主教が語るように、世界の平和と正義の実現のためには、キリスト者がひとつとなることが必要条件なのだという確認である。総会終盤の夜に、ツツ大主教と大きな「平和のキャンドル」を先頭に、WCC総会参加者、そしてポルトアレグレ市民数千名が、手にろうそくの灯火を持ち、サンバのリズムとテゼの歌を織り交ぜながら平和を求めて行進した。一本一本のろうそくの火が、大河のようになり、まるでそれは1910年のエジンバラ会議から始まるエキュメニカル運動の川の流れのように思えた。

 WCC総会に参加して実感したのは、世界教会のエキュメニカル運動において、私たちアングリカンの存在がいかに重要であるかということである。前述したツツ大主教ももちろん聖公会であるが、17日には、ローワン・ウィリアムズ、カンタベリー大主教が来訪、グローバル共同体としてのWCCの使命について明確な指針を総会全体に与えてくれた。また、8人のWCC新プレジデントの一人には、英国教会の神学者である、メアリー・ターナー氏が選ばれた。彼女は、長年にわたって世界エキュメニカル運動の信仰職制部門を指導してきた方である。そもそも、世界教会協議会の黎明には、ウィリアム・テンプル、カンタベリー大主教が中心的な働きを担ったのであり、そういう意味では、WCCを軸とするエキュメニカル運動への貢献というのは、アングリカンの伝統であると言っても過言ではない。

 新しいWCC中央委員会議長には、ブラジルのルーテル教会神学者である、ウォルター・アルトマン氏が選出された。また、日本からのWCC中央委員には私が選ばれた。日本聖公会がWCCの動きにダイレクトに接続するためのアクセスポイントの役割を担えればと願っている。





第50回国連女性の地位委員会およびIAWN会議報告

大岡左代子
(京都教区和歌山聖救主教会信徒)

 私は去る2月23日〜3月9日の期間、ニューヨーク国連本部で開催された第50回国連女性の地位委員会に東京教区の神崎直子さんとACC(聖公会中央協議会)の代表団の一員として参加し、同時に開かれたACCの主催によるIAWN(国際聖公会女性ネットワーク)の会議に参加しました。

 今年は37管区から62名の代表者と米国聖公会からの参加者を含め最大150名近い大きな集まりとなりました。今年の「国連女性の地位委員会」のテーマは「開発における女性の参与の強化;とりわけ教育、健康、労働の分野を考慮に入れたジェンダー平等と進歩向上を可能にする環境」「あらゆるレベルでの意思決定プロセスにおける女性と男性の平等な参与」の二つ。

 私たちは国連の会議を傍聴する一方、ACC代表団の中でも同じテーマを中心に、テーマ別や地域別の会議をもちました。特に、昨年10月に開かれたACC第13回総会において、昨年のこの会議に集まった代表団がACCに提出した意見書が承認されたという決議31号の実現に向けて活発に意見交換がなされましたが、中でも「意思決定プロセスにおける男女の平等な参与」を実現するための手立てや環境をつくりだすことについて女性たちの熱心な話し合いが続きました。また、IAWN運営委員を中心に世界の聖公会女性ネットワーク作りのための草案を作成、最終日にはACC代表団による第50回国連女性の地位委員会への閉会声明を採択しました。

 日本聖公会ではまだ十分にその内容が伝わっていませんが、昨年のACC13で採択された決議31号がこの集まりに、また世界の聖公会女性たちに大きな意味を持つものであることをあらためて実感する機会となり、派遣された者の責任を感じました。また、3月5日(日)には9・11テロの現場となったグラウンドゼロを訪れ、犠牲となった方たちのために共に祈りを捧げることができました。言語や人種、国を超えた「命」への篤い思いを祈りにこめたとても貴重な体験となりました。

 ACCが国連女性の地位委員会に代表団を送るようになって3年目の今年、会議そのものの枠組みが作られ始めてきたようです。国を超え、言語を超え課題を分かち合う女性たちの歩みは始まったばかりですが、同じ場に集まること、声を聴きあうこと、というそのプロセスにこそ意味があると力づけられた2週間でした。




公 示


日本聖公会第56(定期)総会を下記のように招集します。
救主降生2006年2月20日
日本聖公会総会議長
主教 ヤコブ 宇野 徹



日時: 2006年5月23日(火)午前11時から5月25日(木)午後5時まで
場所: 日本聖公会センター(牛込聖公会聖バルナバ教会)
162-0805東京都新宿区矢来町65番地

以上



2005年教区会選出総会代議員

(教区会後変更のあった場合は変更後で記載)


北海道 聖職 ミカエル広谷和文 ペテロ大町信也
信徒 ヨハネ沖田紀夫 アンデレ遠藤淳治
東北 聖職 フランシス長谷川清純 ピリポ越山健蔵
信徒 パウロ竹石和己 ヨハネ小貫晃義
北関東 聖職 サムエル輿石 勇 ヨハネ小野寺 達
信徒 パウロ横川 浩 フランシス菊池邦杳
東京 聖職 バルナバ関 正勝 マリア山野繁子
信徒 パトリック山田益男 アブラハム松田正人
横浜 聖職 ヨハネ相澤牧人 ヨハネ前田 浩
信徒 ダビデ倉石 昇 テモテ中林三平
中部 聖職 サムエル大西 修 ペテロ渋澤一郎
信徒 クリスティーヌ池住 圭 アンデレ日野忠市
京都 聖職 ヨハネ石塚秀司 ヨハネ黒田 裕
信徒 ステパノ菊地伸二 アイレネ佐々木靖子
大阪 聖職 ペテロ齊藤 壹 ペテロ竹林徑一
信徒 フランシス佐野信三 ルツ尼子美喜
神戸 聖職 ルカ伊神 努 ヨハネ芳我秀一
信徒 ヨセフ八木一幸 インマヌエル大東康人
九州 聖職 フランシス堀尾憲孝 フランシス小林史明
信徒 ヨセフ秋山献之 ハンナ東 美香子
沖縄 聖職 ミカエル津留孝夫 アンセルム目崎甲弌
信徒 イレーネ高嶺初子 アンデレ富本盛彦





◇郵便振替払込料金(送金手数料)改定にともなうお願い


2006年4月3日(月)より、日本郵政公社は郵便振替サービスの各種料金を改定します。
これにより、諸献金等のご送金に利用いただいている通常払込は、窓口での手数料(払込料金)がこれまでより30円引き上げられることになりました。

管区へのご送金には多くの場合、払込料金加入者負担(赤で印刷の用紙)で郵便振替をご利用いただいておりますため、手数料の引き上げにより管区の負担額が大きく増加することになります。
ただし、郵便局のATM機械をご利用になった場合の手数料は4月以降も据置かれますので、なるべく窓口に持ち込まず、ATM機械のご利用をお願いします。

〈参考〉
郵便振替通常払込
取扱額 手数料(窓口) ATM
a 現行 改定後 (据置)
〜1万円 70円 100円 60円
10万円 120円 150円 110円
100万円 220円 250円 210円

*100万円を超える場合は100万円ごと及びその端数について、上記料金を合計した額。
なお、一般振替口座をお持ちの場合、送金額に拘わらず手数料一律15円(送金者負担)というサービスがあります。そちらを、ご利用になれる場合は、どうぞその方法もご考慮ください。以上よろしくお願いいたします。


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