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 聖ルシヤ( S. Lucia V. et M.) は,シチリア島 (Sicilia) のシラクサ( Siracusa) で貴族の裕福な家に生まれ、信仰深い両親のもとで育てられた。父の死後、母の健康がすぐれなかったため、母とともにシチリア島の聖女、聖アガタの墓に巡礼し、一心に祈りを捧げていると病気が治った。この奇跡を機に、ルチアは生涯を神にささげる決意をしてそのことを母に話し、自分の財産を貧しい人々に与えた。以前ルチアとの縁談があり、彼女に好意を寄せていた青年はそのことを知って怒り、彼女がキリスト教徒であることを密告した。当時は、ローマ皇帝ディオクレチアヌス(在位284〜305)のキリスト教迫害下にあり、すぐに彼女は捕えられ、信仰を貫き通して304年に殉教した。

彼女の名 Lucia は「光」を意味するため、光を司るとされるようになり、目を患った人々の守護聖人として崇敬される。聖画ではのどに剣を刺され、手にしゅろを持っている図、皿に目玉をふたつのせている図などがある。

 ローマでは6世紀頃から聖ルシヤの記念祭がおこなわれた。7世紀の終わりにはウェストサクソン王家出身の学者、聖アルドヘルムによって殉教伝が著わされた。冬の間、太陽の光に恵まれないスウェーデンにその存在が伝わり、光の聖女としてたたえられる。18世紀からは冬至祭のユールが12月13日に移動し、ルシア祭となった。

聖公会では12月13日を「殉教者おとめルシヤ」の日としておぼえます。