先日夏季休暇を頂き、旅に出た。どこに行くかは特に言わなか
ったのだけれどそれも又楽しかった。西へ西へと向かった私はある時、熊本の阿蘇山を目指していた。特に何の予備知識もなくただ漠然と「きれいそう」と思って行くことにした。阿蘇山はだだっ広い草原が広がっていてそういうのが珍しいのかと思っていた。阿蘇駅に着くまでに、いったいどこにそんな草原があるんだろうと半ば期待はずれな気持ちで駅に着いた。その日は天候も悪く、山頂も霧がかかっていたので、無理をせず温泉に入ることにした。3時半頃そろそろ山頂にバスで上がろうかと思ったら、もうバスがない。仕方なく歩いて登ることにした。登り初めて1時間、自分が阿蘇山のことを誤解していたことに気づいた。阿蘇山は山が1000万年以上前に噴火して出来たクレーターで有名な場所だった。山の中腹から見渡す景色は東京23区をすっぽりと囲んでしまう高さ千メートルの山に囲まれたすり鉢状の地形だった。自分の予想を遙かに超えるものとの遭遇は新鮮な驚きと打ちのめされたようなすがすがしさを感じさせてくれた。
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