バルナバ栄一の「聖書談話」(マルコによる福音書C) (2)鳩


(3)サタンからの誘惑

  サタンはイエスに云おうとしていた「力と権力と流血によって世界を手に入れよ」と。神は、イエスにおいて言おうとしておられた。「わたしの愛を人々に与えよ。命をかけて人々を愛せよ。十字架上に死ぬとも、この敗れることのない愛で人々に仕えよ」。サタンは云う。 「暴力の独裁政治を始めなさい」。神はイエスに「愛の支配を始めなさい」と言われた(バー クレー)。このサタンとの戦いはマタイによる福音書4:1〜10に詳しく書いてあります。 イエスの空腹に対して「神の子なら、石をパンに変えてみよ」と言う問題。「パンのみで生きるのではなく、神の言葉によって生きる」(申命記8:1〜3)とお答えになった。これは人間の経済的欲求に対する態度です。経済的な欲望の達成が第一ではない、と言うことです。二番目、高い神殿の屋根の上に立たせて、「飛び降りてみよ、神の子なら、神が守って民衆も信じるだろう」と言うのです。イエスは「主を試してはならない」とお答えになる。主を試みる行為は、人間の側の欲求を神が満たすかどうかという行動であり、信仰は自己が無になって神の真実だけを根拠として行動することで、全く別物です。「主を試してはならない」(申命記6:16)は、「心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして(自己を完全に放棄して)あなたの神、主を愛しなさい」(申命記6:5)のすぐ後におかれていて、「主をためしてはならない」はその裏を示しているのです。最後のサタンの言葉はいよいよ支配の問題です。サタンは云います「私を拝むなら、世界のすべてを与える」と。イエスは「退けサタン、《あなたの神である主を拝み、唯主に仕えよ》」と書いてある(申命記6:13)。この3つの誘惑は皆「あなたには、私の他に神があってはならない」と言う第一戒に関する戦いです。(市川喜一氏著「マタイによるメシア・イエスの物語」より)

←前へ     次へ→

 
聖書

 

バルナバ栄一の「聖書談話」menu

マルコによる福音書C 1 2 3 4

 

 

芦屋聖マルコ教会 トップページ