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日本聖公会の宣教と管区機構改革

カンタベリー大主教指名される























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日本聖公会の宣教と管区機構改革
宣教主事 司祭 木村 直樹

2000年5月に開かれた第52(定期)総会において、「日本聖公会管区機構試行に関する件」が決議され、従来総会で立てられたすべての委員会を見直すことになったことはご承知のことと思います。そして今年5月に開かれた第53(定期)総会において、正義と平和委員会と青年委員会が新たに総会で立てられました。これについて、この間の経緯と新しい委員会の使命について説明させていただきます。

 宣教に関わる委員会として従来の総会によって立てられたものは、学生青年運動協力委員会、訓練計画委員会、部落差別問題委員会、天皇制靖国問題委員会、「正義と平和」委員会、日韓協働委員会の六委員会です。

 これらの委員会が総会で立てられた背景には、その時々の日本聖公会の個別の宣教課題
がありました。
 学生青年運動協力委員会の成立は1962年(27総会)です。初めは学生運動中央委員会という名称でした。大学生は当時まだエリート的存在であり、政治的にも社会的にも指導的な立場を期待されていた時代です。学生伝道を積極的に行うことを通して、日本における教会の指導的地位を形成しようとした意図も背景にあったように思います。この委員会は学生・青年層の鋭い問題意識に支えられて、その後の日本聖公会の宣教課題を覚醒させる役割を担うようになりました。

訓練計画委員会は、日本聖公会訓練計画「あすの教会をきずく会」として1977年(34総会)に立てられました。この背景には、海外母教会の財政援助の停止されたことがあります。このため日本聖公会は財政的自立と体質改善を迫られていました。その後この委員会は聖職、信徒の研修を行う役割を担いました。部落差別問題委員会は1980年(35総会)に立てられます。教会が人権・社会問題にも関わる必要が認識され、日本社会に今なお残る部落差別問題に関与することが目的とされていましたが、後に日本聖公会内部の差別事件を通して、差別が日本聖公会の内包する問題であることが明らかになり、それに克服するための役割をも担うようになりました。

1986年(39総会)に、「天皇制」を考える委員会、靖国問題委員会、「正義と平和」委員会が立てられました。「天皇制」を考える委員会は、祈祷書中の「天皇のための祈り」について考えるために立てられましたが、日本社会にある天皇制体質と取り組むことを課題とするようになります。靖国問題委員会は、その時代の与党自民党が靖国神社国家護持法案の成立を画策している中で、これに信仰者として反対するために立てられました。その後両委員会は合同し天皇制・靖国問題委員会となります。

「正義と平和」委員会は米軍の基地問題、核問題、殊にこれらの問題が集中している沖縄に関わる委員会として立てられ、沖縄を通して日本社会を見直すことを役割としてきました。

日韓協働委員会は、1988年に立てられました。日本の植民地として苦しめられた朝鮮半島の歴史を踏まえ、新しい日韓関係と在日韓国・朝鮮人の差別と人権問題に取り組むことが目的でした。

これらの委員会は、各委員会の個別の役割を担うと共に、その活動を通して宣教についての理解を深めてきました。その成果が95年宣教協議会の開催です。協議会では日本聖公会の過去のあり方が問われ、日本聖公会が過去の歴史に対する責任を明確にして来なかったことを悔い改め、戦争責任の告白を行いました。そして今後、歴史に対する責任を果たしてゆく教会となってゆくこと、また各委員会が個別に担ってきた課題は、神がこの日本で行っている宣教の働きの一部を担うことであり、日本聖公会がこの神の宣教に参与することを通して、教会そのものが改革され、社会で小さくされている人々と共にある教会となることの必要性が確認されました。

今回の機構改革は、第52(定期)総会の決議第20号に基づくものとは言え、その背景には以上述べてきたような経緯があります。今回の総会で正義と平和委員会と青年委員会が立てられたことは、日本聖公会が、神の宣教に参与するために、この二つの委員会を立てたことを意味しています。かつて日本聖公会はその時々に応じて、課題別の委員会を総会で立ててきました。そこには一つ一つの課題が、取り組むべき宣教課題として取り上げられてきたということです。しかしそれらの課題は、日本聖公会が担うべき宣教活動そのものであって、その宣教における正義と平和活動の全体を正義と平和委員会が担うという形に改革したということになると思います。また青年委員会については、青年層の働きの積極的な意義を認めて、日本聖公会として青年たちと取り組む姿勢を示したものと言えるでしょう。

さてこれらの委員会が立てられるに先立って、旧六委員会のメンバーは、第8回全聖公会中央協議会(1990)で示された宣教についての理解(み国の良き音信を宣言すること。新しく信仰の群れに加わった人(new believer)を教え、洗礼を授け、養育すること。愛の奉仕によって人間の必要に応えること。社会の不正な構造を変革するように努めること。被造物の本来の姿を保護するように努め、地球の命を支え新たにすること。)を参考に、次のような宣教方針を共通理解とすることを確認としました。

a.   小さくされている人びとと共に、キリストの福音を分かち合うこと
b.   福音を受け入れる人々に洗礼を授け、神の宣教を担う者として共に成長すること
c.   差別され、抑圧されている人々の具体的な必要に応えること
d.   不正な社会構造を変革し、正義と平和を実現すること
e.   被造物の保全に関心を向け、地球のあらゆる生命を支えるために活動すること

両委員会ことに正義と平和委員会は、この宣教方針に基づいて行われてゆくことになります。これまでの六委員会が担ってきた働きは、当然、この委員会で継続されますが、それとともにこれまで取り組むことのできなかった諸課題(ジェンダー・環境・「障害者」)についても視野に入れた活動を行うことになっています。また従来の課題がともすれば、管区の委員会だけの活動になっていた点を反省し、教区の宣教を担う部門や教会で実際に宣教活動を行っている人々、さらにこのような活動に関心のある人々との連帯も課題となっています。その第一歩として、正義と平和委員会はこれらの人々との情報交換を円滑に図るため、聖公会正義と平和ネットワークを近々立ち上げようとしています。

これまでの機構改革の話し合いの中では、正義と平和、青年の二つの委員会の他に、宣教における海外諸教会との協働を役割とする海外協働ネットワーク事務局と、宣教についての調査、研究、研修などの活動を行う宣教委員会の必要性についても話し合われましたが、今回の総会での議案提出は見送られ、今総会期に宣教主事の担当の元で、さらに調査、研究を行い、次回定期総会に何らかの報告がなされることになっています。

日本聖公会の機構は、日本聖公会の宣教理解と密接に結び付いたものです。今後、宣教についての理解が深まれば、それに応じた機構改革が行われる必要があるのは当然です。今回の機構改革はその第一歩として位置付けられるものだと思います。






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104代カンタベリー大主教指名される



 ACO(全聖公会中央事務局)によると、7月23日、現ウェールズ聖公会首座主教であるローワン・ウィリアムズ大主教がジョージ・ケアリー・カンタベリー大主教の後継者として指名されたことが公表された。

 若くしてオックスフォード大学の教授になられた優れた神学者として知られながら、気
さくなお人柄で慕われている。社会のいろいろな問題に常に深い関心を持たれ、米国によるアフガニスタン攻撃にはいち早く強い反対の意を表された。進歩的でありながら、神学的な伝統も大切にされる由。52歳でお二人のお子さんがおられる。

正式な就任式は来春になると思われるが、ご本人は全聖公会のお祈りを切に願っておられる。