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議案の重みを感じた第55(定期)総会

管区事務所総主事 司祭 ローレンス 三鍋 裕

総会が終わりました。無事に終わったといえるのかどうか分かりませんが、とにかく終わりました。私自身は総会に出席するのは初めてで緊張しました。家内には「喧嘩はしないように」といわれていましたが、今回の代議員さんはやさしいお方ばかりだったようです。それでも頭と胸と胃が痛む3日間でありました。皆さんもお大変だったと思います。無責任で申し訳ありませんが緊張して、終わってみればどんな総会だったのか思い出せないことも多いのです。

「小泉首相の靖国神社参拝に抗議する件」「憲法第9条の改憲に反対する件」「自衛隊のイラクからの撤退を求める件」「狭山事件に関する要請文を最高裁と最高検に送付する件」が可決されました。管区事務所提出の議案ですから議場で説明すればよかったのですが、簡単に思いを申し上げます。

靖国については戦没者のご遺族のお気持ちをお察ししながらですが、首相が靖国に参拝に行くたびに韓国や中国から強い非難が出ます。なぜそんなに強い非難が出るのでしょうか。それにはそれなりの理由があるはずだと思うのです。アジアの多くのお国では旧日本軍と一部民間人の蛮行は、遠い昔の思い出ではなく「つい昨日のような現実」で多くの人が痛み続けています。英霊を使って戦争を美化するのはあまりに一方的です。

靖国神社の境内に遊就館という奇妙な名前の資料館があります。あまりにも日本中心の視点で、他国の人々に与えた暴虐に対する反省は皆無です。人々と簡単に言いますが、一人一人が生まれ、愛され、育てられ、幸せな人生があったはずなのに、理由もなくその人生が破壊された事実に全く関心がないかのよう見えます。これが靖国神社の性格を現しているとすれば、アジアの人々は許してくれないでしょう。首相にも信仰の自由がありましょうが、公式参拝は意味が違います。政教分離の原則さえ緩和しようとしている時代ですが、止していただきたいということです。

憲法第9条、今のままでも自衛隊は「大活躍」しています。ご苦労様とも思います。しかし憲法第9条までなくなってしまったら、歯止めがなくなります。今でも十分すぎるではありませんか。有事法制も可決されました。合同軍事訓練もされています。必要のない訓練をやるものでしょうか。日本は世界の一流国でなくても良い、子供や孫を戦争に巻き込みたくないのです。直接的にしろ間接的にしろ、人を殺させたくないだけなのです。

自衛隊のイラク撤退、百歩譲ってもイラク戦争の意味が全く違ってきたではありませんか。多国籍軍にも参加するとかです。簡単ではないのは承知の上で、素人の本音はせめて「話が違うじゃないか」といって帰ってきてほしいのです。今なら遅くないのです。世界から馬鹿にされても良いから、自衛隊派遣の莫大な費用を「人道援助」に使えるではありませんか。現に負傷したイラクの少年の目の治療を出来る国ではありませんか。海外派兵はつい最近まで考えられないことでした。自衛隊は、せめて「自衛」隊であってほしいのです。

狭山事件、今までの無知を恥じます。石川一雄さんのお話を伺って、今まで話は聞いていたけれども初めて心で「こういうことだったのか」と思わされました。

教会が教会として政治に口を出すことが良いのかとの疑問も出されました。ひとつの見識だと思います。しかし教会もひとつの生命体として意思表示をすることが必要なときもあると私は思うのです。今回は立法、行政、司法に口を出したわけですが、どれも人々の生活に関係します。であれば、教会は関心を持ち続けなければならないのではないでしょうか。「政治にとって大学と宗教は鬼門である」と言われてきました。誤りもあったかもしれませんが、教会もその信仰にしたがって影響力を発揮してきたのも事実です。教会は政治に口を出すべきでないとのご意見は、なんとなく反対しにくい雰囲気の中で勇気あるひとつのご意見と思います。そうならば、個人のレベルで周囲に起こっている事柄に対して、キリスト者としての一層の関心を持ってくださるようにお願いしたいと思います。

その他「ハンセン病問題啓発の日を設け、ハンセン病への理解が深まるために祈る件」も可決されました。より良いお祈りを定めるために今努力をされており、近く皆様にお知らせできるはずです。

こう振り返ると皆様のお祈りに支えられて、一つ一つの議案に重みのある総会でした。総会が終わったら少しはホッとできるかと思っていましたが、案外そうでもありません。

次々と課題が続きます。総主事をもう2年間務めさせていただくことになりました。よろしくお助けくださいますようお願い申し上げます。

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