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決議第26号
本総会は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝に抗議し、下記の要請書を首相に送付する。
                  
内閣総理大臣
小泉純一郎殿
2004年5月27日      
日本聖公会第55(定期)総会

議長  主教 宇野 徹    
要 請 書
 わたしたち日本聖公会は、2002年5月に開催した第53(定期)総会において、「小泉首相の靖国神社参拝に抗議する件」を決議し、『抗議文』を小泉首相に送付しました。しかし首相は、就任以来、毎年一回、靖国神社参拝を繰り返し、今年は、1月1日に参拝を行いました。わたしたちは、あらためて首相の靖国神社参拝に強く抗議します。
 靖国神社は、明治維新以来、戦死者を慰霊する目的で創設され、現在246万人の戦死者が神(英霊)として祭られ、その中には、太平洋戦争の戦争指導者であったA級戦犯も合祀されています。
 日本国憲法第20条は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と政教分離の原則を定めており、去る4月7日に福岡地方裁判所は、小泉純一郎首相の靖国参拝が、「宗教的活動にあたる」として、憲法違反との判断を示しました。
 また、繰り返される首相の靖国参拝によって、海外ことに日本の侵略に被害を受けたアジアの国々から、強い批判の声が起きています。A級戦犯が合祀されている靖国神社に、現職の内閣総理大臣が参拝すれば、先の戦争を首相が肯定していると、それらの国々が受け取るのは当然です。
 首相は、靖国参拝の目的について、「国家による戦争によって亡くなられた人びとを追悼し、不戦の誓いを堅持するため」と述べていますが、その目的を遂げるためには、首相自身が、過去の歴史を反省し、平和憲法を堅持し、平和外交を推進することにあると、わたしたちは考えます。
 わたしたち日本聖公会は、小泉首相が、福岡地裁の判決とアジア諸国の批判の声を真摯に受けとめ、今後、靖国神社への公式参拝を止めるように要請します。
             
決議第27号
本総会は、日本国憲法第九条の改憲に反対する下記決議文を採択し、日本聖公会の全教会にこの決議文を配布すると共に、主な政党にこの決議文を送付する。
決 議 文
わたしたち日本聖公会第55(定期)総会は、主にある兄弟姉妹の皆さんに、主の平和が豊かにありますようにと祈ります。
 わたしたちは、日本が、平和への道ではなく、戦争への道を歩み出しているのではないかという恐れを強く抱いています。
 自衛隊が戦闘状態にあるイラクに派遣されていますが、この派遣は、唐突に決められたわけではありません。1990年の湾岸戦争において、日本は多国籍軍への協力を求められ、巨額な戦費を負担することによって、戦地への自衛隊派遣を避けましたが、この頃より、国際貢献ができる「普通の国」になろうという声が、当時の政府与党から強く主張されるようになりました。と同時に、PKO協力法、日米新ガイドラインと周辺事態法、テロ特措法、有事関連三法など、憲法第九条に違反の疑いがある法律が次々と制定され、ついに今回の派遣に至ったのです。
 これらの法律が成立する前後の2000年1月、衆参両院に「憲法調査会」が設置され、来年その調査期間が終了します。改憲が具体的に政治日程に上る日が近づいていること、ことに改憲論の中心が憲法第九条にあることに、わたしたちは強い危機感を覚えます。
 日本国憲法は、近代日本の歩みが行き着いた破滅的な戦争の反省の上に作られた憲法であるとともに、その日本によって甚大な被害を受けた内外の人々の尊い犠牲の上に作られた憲法です。
 憲法第九条にある「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」との文言は、上記の反省と犠牲の上にあるのです。
 1930年に開かれたランベス会議で、「国際紛争を解決する手段としての戦争は、我らの主イエス・キリストの教えと模範に相容れない」との声明が出され、この声明が、以後のランベス会議で何度も再確認されています。憲法第九条の背景にはこの声明に象徴される精神が存在しているということを、皆さんにお伝えしたいと思います。
 1996年に開かれた日本聖公会第49(定期)総会は、「日本聖公会の戦争責任に関する宣言」を決議しました。日本聖公会として「戦前、戦中に日本国家による植民地支配と侵略戦争を支持・黙認した責任を認め、その罪を告白し」、「神の民として正義を行うことへと召されていることを自覚し、平和の器として、世界の分裂と痛み、叫びと苦しみの声を聴きとることのできる教会」になることを決議したのです。このような内容の「宣言」をした日本聖公会にとって、戦争の反省と尊い犠牲の上に作られた日本国憲法、ことに第九条の改憲に反対することは、教会としての責任です。
 復活のキリストは、弟子たちに「あなたがたに平和があるように」と言われ、平和の福音の使者として、弟子たちを世界に遣わされました。洗礼を受けて神の子とされたわたしたちは、「平和を実現する人々は幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5:9)との御言葉を生きる者です。
 日本聖公会に連なるすべての兄弟姉妹の皆さんが、憲法第九条の改憲に反対し、「平和を実現する人々の幸い」に与かる者とされますように、祈ります。
2004年5月27日      
日本聖公会第55(定期)総会

議長  主教 宇野 徹    
送付先) 日本聖公会内諸教会・礼拝堂伝道所
     国内各政党
                  
決議第28号
 本総会は、自衛隊のイラクからの速やかな撤退を求める下記要請書を採択し、これを政府に送付する。
内閣総理大臣
小泉純一郎殿
2004年5月27日      
日本聖公会第55(定期)総会

 
議長  主教 宇野 徹
      
要 請 書
わたしたち日本聖公会第55(定期)総会は、日本政府に対して、現在イラクに派遣されている自衛隊の速やかな撤退と、米英のイラクに対する軍事占領を止めさせるための平和外交を行なうことを要請します。
 政府は、人道復興支援を名目に、自衛隊をイラクに派遣しました。戦闘地域に、重装備で、米英軍の占領政策に協力し、また米英軍の物資輸送などの任務も含まれるこの度の派遣は、武力行使と国の交戦権を否定している日本国憲法第九条に違反していると、わたしたちは考えます。
 今回のイラクへの自衛隊派遣は、イラク特措法に基づいての派遣ですが、同法第二条第3項には、「現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域において実施されるものである」とあります。イラクの現状を見るならば、その広範な地域で戦闘行為が行なわれ、自衛隊が派遣されているサマワ周辺も例外ではありません。同法に照らしても、自衛隊のイラクからの速やかな撤退が求められるはずです。
 昨年5月に、ブッシュ米大統領は「戦闘終結宣言」を行ないました。そして以後、同大統領は、イラクで生じる戦闘行為を「テロ活動」と呼んでいます。しかし米英軍その他に対する攻撃は、その占領統治に反対する民衆の支持を得た抵抗活動であることが明らかになりつつあります。そもそもイラク攻撃の理由であった「大量破壊兵器」は未だ見つからず、結局のところ、この戦争は、米英両国のイラクへの侵略行為であったとの疑いが濃厚です。イラクに派遣された自衛隊は、イラクの民衆から侵略者と見なされている米英軍に、結果として加担することになっています。4月に生じた人質事件がそれを証明しました。派遣された自衛官が、イラクの民衆から侵略者と見なされながら活動を継続することは、彼らが極めて危険な状況下に置かれて、その活動を行っていることを意味します。戦争に駆り立てられた自衛官が紛争に巻き込まれないためにも、速やかな撤退を要求します。
 日本国憲法第九条に「戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とあります。わたしたちは、憲法の下にある行政府の長である小泉純一郎首相に対して、米英両国に、イラクの軍事占領を一日も早く終了し、その軍隊を撤退するように働きかけるように要請します。
 また、イラク人の民族自決の正当な権利を認め、彼らが平和的に自らの主権回復を図ることができるために、政府がイラク民衆の声に耳を傾け、それを国際社会や国連に反映させるための政策の実行を求めます。
                  
決議第29号
2002年1月23日に、狭山事件の異議申し立て棄却決定がなされた。これに対して、本総会は、石川一雄さんの証言を聞き、「最高裁への特別抗告」並びに「最高検察庁への全証拠開示」を求める以下を骨子とする要請文を決議し、これを、最高裁判所と最高検察庁に送付する。
102-8651
東京都千代田区隼町4-2
最高裁判所第1小法廷 御中
2004年5月27日      
日本聖公会第55(定期)総会

議長  主教 宇野 徹    
 2000年の日本聖公会第52(定期)総会は、1998年7月に出された「狭山事件に対する再審請求棄却決定」に対し、棄却決定の撤回と再審開始の要請を決議いたしました。その後、2002年1月23日に出された狭山事件の異議申し立て棄却決定に対し、2002年5月28日?30日に開催の日本聖公会第53(定期)総会は、最高裁判所が特別抗告審で事実審理を行い再審開始をすることを求めること、最高検察庁による全証拠の開示を求めることを確認いたしました。
 以上のことから、最高裁判所に対し以下のことを要請いたします。

「狭山事件は市民常識として疑問だらけである。弁護団提出の新鑑定によって筆跡、足跡などの有罪判決に疑問が生じている。脅迫状をめぐる重大な新事実もつぎつぎと明らかになり、国民的注目が集まっている。」という事態にもかかわらず、東京高裁は、鑑定人尋問など十分な証拠調べ事実調べも行わず、きわめて杜撰な棄却決定を行いました。このような一方的、かつ市民常識から掛け離れた棄却決定を行った裁判所に、真実に向き合うという誠実さも真摯な態度も感じられません。国民の司法参加の時代を間近に控えて、最高裁判所が、国民の司法に対する期待に応え、狭山事件再審請求の公正・公平な裁判を行うよう要請します。とうてい審理を尽くしたとはいえない再審棄却決定、異議申立棄却決定を取消して、十分な証拠調べ、全証拠の開示を保障し、狭山事件の再審を開始するよう求めます。また、東京高検が弁護側の証拠開示請求に応えないまま、異議申立を棄却されたことにも強い不信と不正義を感じています。新証拠を必要とする再審請求において、検察官の手持ち証拠を開示しないことは正義に反します。とくに、検察官手持ち証拠のリストの提示を求めるのは当然です。少なくとも証拠リストを直ちに弁護側へ提示するよう最高検に勧告、命令を行うよう求めます。
                  
100-0013
東京都千代田区霞ヶ関1-1-1
最高検察庁刑事事務課 御中
2004年5月27日      
日本聖公会第55(定期)総会

議長  主教 宇野 徹    
 2000年の日本聖公会第52(定期)総会は、1998年7月に出された「狭山事件に対する再審請求棄却決定」に対し、棄却決定の撤回と再審開始の要請を決議いたしました。その後、2002年1月23日に出された狭山事件の異議申し立て棄却決定に対し、2002年5月28日?30日に開催の日本聖公会第53(定期)総会は、最高裁判所が特別抗告審で事実審理を行い再審開始をすることを求めること、最高検察庁による全証拠の開示を求めることを確認いたしました。
 以上のことから、最高裁判所に対し以下のことを要請いたします。
「国際人権自由権規約委員会は、弁護側が証拠開示を受ける機会を保障するよう実務の改善および法的な整備を勧告しています。新証拠を必要とする再審において検察官の手持ち証拠を開示しないことは正義に反します。とくに狭山事件においては、東京高検が積み上げる2?3メートルもの未提出資料があると認めながら、弁護側にまったく開示されないまま、再審請求、異議申立が棄却されたことに、わたしたちは不公平・不公正・不正義を強く感じています。直ちに、最高検が狭山事件に関わる手持ち証拠、とりわけ証拠リストを弁護団に開示するよう求めます。」

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