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目で見て、人と語ったパレスチナ訪問 B
                                管区事務所渉外主事 八幡眞也

ガザ地区
 イスラエル政府の許可がおりなかったために今回はわれわれが訪問する事は出来ませんでした。ガザ地区にはパレスチナ人過激派が多いと言うイスラエル政府の想定で、出入りが厳しく管理されているためと思います。
 ここには聖公会の運営するアハリ・アラブ病院あり、昨年の初めにミサイルの着弾により被害を受け、日本聖公会が緊急の資金援助をした所です。その後の復興活動の成果を確認したかったのですが、訪問が実現しなくて残念でした。イスラエル教区はこの病院内でこどもやパレスチナ難民のために無料の医療活動をしたり、医師団が難民の住んでいる所に出かけて(彼らの行動が自由でないため)治療したりする活動の資金援助をしています。
 教区の活動では、医療の費用は出来るだけ本人達が負担をするように仕向けていますが、どうしても自己負担が不可能な場合に、教区が資金援助をしているそうです。大切なのはパレスチナ人が出来るだけ短期間に自立をする事です。
Princess Basma Center for Disable Children
 出産時やその直後に身体に障害を来したこども達のリハビリセンターです。ユニークなのは障害を持ったこどもとその親を預かり、リハビリプログラムを治療師と一緒にこどもの親が学ぶプログラムがある事です。親がリハビリ治療方法を学ぶ事により、自分達の家に帰った後でも、そのリハビリプログラムを維持できるわけです。この様にして、リハビリセンターへの通院を無期限に継続するのでなく、親が治療が出来るようになって自立できる事を優先しています。
 パレスチナ人の社会では部族間の結束が強く部族間結婚が多く、そのために近親結婚の例が多くて出産時の障害が多く出るようです。
 この施設は聖公会が運営していますが、資金援助は教区からは全く出ていないそうです。おそらく必要な資金調達は自己で賄えるとの教区の判断があるのでしょう。
St. George’s College
 エルサレム及びその周辺地方で聖職を養成するために設立された聖職養成機関ですが、今の時点ではその様な状況でないために、現在一般信徒(聖職も含める)のためのピルグリム訪問とパレスチナ人の置かれている現状理解とを組みあわせた特別プログラムを実施しています。
 その他にはKids For Peaceというこども向けのプログラムを持っています。イスラム系パレスチナ人、ユダヤ教徒、パレスチナキリスト教徒のこどもたちを集めて(10歳?11歳)、若い世代間でお互いの対話が出来る環境を作っています。成人してしまうと対話をする環境でなくなってしまうので、若い世代のこどもたちを対象にしているそうです。一つのグループは12名で構成され、一年間継続します。その間夏休みには米国やカナダで2?3週間キャンプをし、更に理解を深めるように努力しています。2000年から始まったプログラムで、米国やカナダの個々の教会や教区がこのプログラムのスポンサーになっています。
 プログラムを運営するためには毎年スポンサーを募っていて、今までは資金調達は割合順調に遂行しているようですが、現地のスタッフのトレーニングのための資金調達に苦労をしている様で、このための資金援助を日本聖公会が出来ないか検討したいと思っています。
イスラエルの状況
 イスラエル人の話を聞く機会が無かったなかで、バスガイドから聞いた話が興味深いものでした。
 イスラエルの国には多国から未だに移民として移住する人が多い反面、今のイスラエル政府の政策を快く思わない人がいて、彼らの一部は外国に移住しているそうです。又、イスラエル国民は全員徴兵制ですが(男性は18歳時点で3年間の兵役義務が生じる)、イスラエル政府の政策殊に隔離壁の建設に反対の若年層の一部が兵役義務を拒否して投獄されたり、裁判を起こしたりしていると聞きました。この様な声が大きくなる事を切に希望します。
 日本聖公会管区として検討すべき課題は
  ジェニン等における現地施設・団体の資金援助
  エルサレム教区経由の諸施設、主に病院の活動の資金援助
   Kids for Peace の資金援助
  現地を訪問して知識を共有し、情報発信基地となる
等考えられますが、パレスチナに平和をもたらし、彼等が出来るだけ早く精神的・経済的に自立出来るような仕組みを作り上げることにどの様に関わる事が出来るかです。
○参考になるホームページのURLを以下に記載します。

聖公会エルサレム教区                  www.jerusalem.anglican.org
パレスチナ子どものキャンペーンCCP     www32.ocn.ne.jp/~ccp/
ベッツァホール 村役場(ベツレヘム郊外の村)        www.beitsahourmunicipality.com
The Arab Association for Human Rights (HRA)   www.arabhra.org
Sabeel                              www.sabeel.org
St. George’s College                www.stgeorgescollegejerusalem.org
Princess Basma Center for Disable Children      jcdc@alqudsnet.com

イーメールで現地の人或いは組織と自由に情報交換が出来ます。興味のある方は私に連絡ください。また、現地組織の発信する情報に登録も出来るようですから、興味があればお知らせください。


《新刊紹介》
息吹きをうけて -第二集-』
百年の重みと時代の変化

◆ 日本聖公会婦人会1900年代の歴史 ◆

20世紀最後の10年間、1999年代は日本聖公会婦人会にとって、きわめて意味深い年月であった。「その最も大きい出来事は、女性司祭が誕生したことであります。これは単に総会で議決された結果というに止まらず、この結果を見るに至るまでの、世界的な大きなうねりと、日本聖公会という教団内で内部的苦闘を重ねた結果であり、恵みふかい神の導きとして受容することができます。」と本書の序文は記している。
 しかし、その一方で各教区の婦人会組織には変化・変動の現象が現れてきている。「教区・教会内での女性の立場や奉仕活動の変化につれて、婦人だけの組織である婦人会を存続する意味が問われるという、二律背反的な現象」である。
 教区婦人会、教会婦人会の解散が現実となるなかで、本書の編纂は進められた。そこからは、「女性であるから意識でき、発見し、問題化することができた事柄が、社会的にも教会内においても多く存在していることを再確認することができた」。婦人会の組織は教区・教会によって多様ではあるが、この多様性の一致が、今後の日本聖公会を活性化させる可能性を内包していると考えたい…、と記した上で、「多様性のなかの一致を一つの目標に、今後も日本聖公会婦人会が主の栄光の証人として、信仰による知恵と力を発揮しつつ、存続していくことを期待し、願っております。」と序文は結ばれている。
 全体の構成は、第一章「展望への具体化を歩み出す」1989?1992、第二章「前総会からの課題を担って」1992?1995、第三章「会則改正案否決後の模索」1995?1998、第四章「被献日献金と感謝箱献金の理解をめざして」1998?2001、第五章「総会決議で設置された委員会」、第六章「日本聖公会・各教区婦人会」(各教区婦人会十年の歩み概観)、最後に詳細な年表を付す。丁寧な記述と克明な資料、写真などを生かして、日本聖公会を支えてきた聖公会婦人会の歴史を記す貴重な一書となっている。編纂委員・塩田純子、田中静子(故人)、佐々木靖子の諸氏。顧問・大江真道司祭。(A5判本文320頁。 発行所・日本聖公会婦人会 〒461-0011名古屋市東区白壁1-32名古屋聖マルコ教会内)

◎管区事務所だよりにご寄稿をお待ちします!  意見、提案、所管、報告など、1000字程度にま とめて管区事務所だより編集部までお送りください。(広報主事・鈴木 一)

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