聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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2024年2月4日 顕現後第5主日(2024/02/02)

「朝早くまだ暗いうちに、イエスは起きて、寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた」マルコによる福音書1:35
福音記者マルコは「福音の初め」(1:1)を、洗礼者ヨハネの働き、イエスの受洗、それに続く40日間のサタンの「荒れ野での誘惑」そして四人の弟子の召し出し「ヨルダン川の向こう 異邦人のガリラヤ」などとユダヤの人々からは軽蔑の対象となっていたガリラヤから神の働きを始められている姿を伝えています。彼の働きによって、今日の福音の箇所が伝えているように「多くの病人」が癒されています。特に今日の福音ではユダヤの礼拝堂シナゴ-グでの教えの後、シモン(後にイエスによって「ペトロ」岩と名づけられる)の家で彼の「しゅうとめ」の癒しが語られています。この出来事は新約聖書では最初に記される女性の癒しのように思います。そしてイエスの癒しの行為が「イエスがそばに行き、手を取って起こされると、熱が引き、彼女は一同に仕えた」とあります。癒しの行為が間接的ではなく、ある意味直接的な身体的接触を伴っていることが関心をひきます。さらにこの「仕えた」はdiekonun(ギ)でしゅうとめがイエスと弟子たちの宣教の「奉仕者」「支える者」さらには「執事」としての働きに加わる者となっていることが私たちの関心を喚起しているように思います。 この出来事に出会って「安息日が終わる」その時間を見計らって多くの人びとがイエスのもとに集まってきます。しかし、イエスは「朝早くまだ暗いうちに・・・寂しい所へ(岩波訳:荒涼としたところ)出て」行かれ、そこで一人「祈っておられた」。このイエスの行動から岩波訳聖書はこの節のタイトルを「孤独から宣教へ」と記します。これは厳しいけれども真実を伝えるタイトルではないでしょうか。多くの問題を抱えた人々によってイエスは囲まれ、それぞれの望みと期待に応じようとされています。しかしイエスは知っておられるのです。それらの多くの人びとはやがてその期待は失望に終わり,やがて群衆となってイエスから離反し、「十字架につけよ」と叫ぶ暴徒と化すことを。「十字架上でわが神わが神」と祈るイエスの孤独が映し出されてきます。 (司祭 バルナバ 関 正勝)

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