聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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2020年8月2日(2020/07/31)

「誰が、キリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう。艱難(かんなん)か。苦しみか。迫害か。裸か。危険か。剣か。」(ローマの信徒への手紙8:35)
パウロはキリスト・イエスによって示された神の愛への信頼から自分たちを引き離して絶望のどん底に突き落とす現実は何も無い、と証しています。わたしたちにとって誠に力強い励ましの言葉です。困難の多い宣教活動の途上にあってパウロ自身にとってもこれらの言葉は自らを鼓舞する言葉であったに違いありません。勿論この力強い言葉を支えたのは彼自身が語っているようにキリスト・イエスによって示された神の愛の働きへの強く揺るぎない信頼があってのことでした。今日の福音の「5千人の供食」の奇跡の出来事はパウロを、そしてわたしたちを支える神の愛を語っておりましょう。この出来事は「4千人の供食」と共に他の3つの福音書にも共に記されていて、この出来事が初代の教会にとってどれほど印象深く記憶にとどめられた出来事であったかが示されているといえましょう。この物語は、わたしたちにとってもよく知られている物語である、といえましょう。ヘロデ王が自分の結婚の件で洗礼者ヨハネに咎められたことから、かれを殺害してしまいます。マタイはその直後の出来事として伝えています。多くの人々がイエスの話に耳を傾けるために従ってきていました。その有様をマルコは「飼い主のいない羊」と表現しますが、マタイはイエスが彼らを「深く憐み」と語ります。時はすでに夕方です。遠く村里を離れた場所での現実に当惑する弟子たちは彼ら群衆を解散させようとしますが、イエスは「あなたがたが彼らに食べる物を与えなさい。」差し出された5つのパンと2匹の魚。これをイエスは受け取り、神に祈り、裂き、そして人々に与えられています。今日の福音で語られる出来事はイエスの十字架の前の「過ぎ越しの食事」(26:17以下)が反映しています。「魚」はイエスの復活のイメ?ジです。→ルカ24:42、ヨハネ21:10。そして今日のわたしたちの教会の聖餐の原型をなしています。困難に直面して神が養って下さることに示される神の愛がパウロの神への信頼とわたしたちの歩みを強めてくれています。(司祭 バルナバ 関 正勝)

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