聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

今週のメッセージ詳細

今週のメッセージ

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2020年8月30日(2020/08/28)

「イエスは弟子たちに言われた。『わたしについて来たい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのために命を失う者は、それを得る』」(マタイ16:24-25)
イエスは、自分について来ようとしている人たちに、己を捨てなさいと教えられる。現代社会はその正反対のことを教える。すなわち、何よりも自分を大事にしなさい、と。起きている間にあらゆるところに配置されている宣伝は皆同じメッセージを発する:まず自分のことを考えて我々の製品を買ってください、と。この車を持っていれば、もっと早いこのスマホを使えば、モルディブへの旅行をすれば、広々としたマンションに住めば、この化粧品を使えば、このエステを受ければ自分が幸せになるのだ、と。また、現代社会は個人の自由に絶対的な価値を置く。周りの人や条件を考慮せずに自分が決めた道を歩み、その邪魔になるものはすべて排除すべきだと言う。現代社会にとって「豊かな命」とは、いかなる条件にも縛られず、全く自由にいられる状況となる。イエスは、これがまさしく豊かな命を失う方法だとおっしゃる。本当に豊かな命と真の幸福は、自分の意志ではなく神のみ心にあるのだ、と。「何よりも自分」ではなく、他人のために自分を犠牲にすることにこそ本当の命を見出すのだ、と。自分の十字架を背負うとはそういうことである。わたしたちにとって、十字架で死ぬことは求められない。それはイエスの使命だった。世界の救い主はわたしたちではなく、イエスである。わたしたちの場合は、十字架を背負っていくというのは、自分のことを考えるウェイトを減らし、神や隣人のことを考えるウェイト増やすこと。神が定めておられる道を受け入れること。神がお造りになった現実と、己の永遠の喜びと他人の利益のために神が用意してくださった条件とを感謝をもって受け入れることが、真の命への入り口となる。(司祭 ケビン・シーバー)

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