聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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2020年9月6日(2020/09/04)

「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいるのである。」(マタイ福音書18:20)
今日の福音はマタイ福音書の教会に対する理解が、ある意味色濃く出ている箇所と言えましょう。イエスの死後小さな歩みを始めた初代の弟子たちの集まり・教会(教会と言う言葉を用いるのは福音書の中ではマタイ福音書だけですが)共同体は教団の規律を固め重んじないわけにはいきませんでした。いずれにせよ、弱々しい小さな歩みを地上に始めたばかりの教会は共同体としての内部の規律を固める必要がありました。その姿を今日の福音の直前に記されている「迷い出た羊のたとえ」(18:10以下)なども伝えておりましょう。ルカは「見失った羊」の譬え(15:1以下)とするのとは,対照的です。しかし、マタイの教会はその共同体から「迷いでた羊」また「罪を犯した」者が立ち返るために繰り返し説得を試みています。彼らが「迷いで」また「罪を犯す」ことになった原因がなんであったかを問い返し、その原因が教会の新しい出発になることを信じて、その努力を教会はあきらめていません。それでも彼らの立ち返りが不可能であるとなったとき、彼らを「異邦人か取税人と同様に見なせ」と言います。ここにはマタイ教会の偏狭さが、思わず知らずのうちにあぶりだされています。そしてイエスは教会は集う人数の多寡によらずイエスの名によって集う者たちの存在こそが教会を教会たらしめることを警告しておられます。教会は清く正しい者たちの共同体ではなく,「罪が赦されることを必要とする悔い改めの共同体」に他ならない、でありましょう。(司祭 バルナバ 関 正勝) 

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