「ヨハネの言葉を聞いて、イエスに従った二人のうちの一人はシモン・ペトロの兄弟アンデレであった。」ヨハネによる福音書1：40
イエスさまの弟子たちの中で、12使徒は初期のキリスト教会では重要な位置を占めたようである。そのうちの4人はガリラヤの漁師たちで、なぜかマタイ、マルコ、ルカの福音書では、その漁師たちのうち、アンデレだけは影が薄い。ペトロ、ヨハネ、ヤコブの3人の漁師たちは、イエスさまの重要な場面に何度も同行しているのに、それらの場面にアンデレは含まれていない。それに対して、ヨハネによる福音書では、アンデレは人々をイエスさまのところに連れてくるということが3度記されている。そのうちの一つがこの記事で、アンデレはペトロにイエスさまを「メシア」として紹介しようとペテロをイエスさまのところに連れてくることが報告されている。バプテスマのヨハネはアンデレに、同じ洗礼を受けた仲間であるイエスさまを「神の小羊」という意味深な呼称で呼んで、紹介してくれた。その後、直接イエスさまと一緒に過ごし、イエスさまのお話を聞いてイエスさまを「メシア」として信じたアンデレの姿が記されている。このアンデレの姿を通して、わたしたちへのメッセージが込められているように思える。「イエスさまのお話を聞き、イエスさまに信頼することを通して、神さまを信仰していく道がありますよ」と。（司祭　シモン・ペテロ上田憲明）