「イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。」＜マタイ４：２３＞
冒頭の「民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。」という言葉は改めて大変なことだと思います。最近メディアの記事で「新型コロナウイルス感染症に伴う搬送困難事案」という言葉を知りました。それは文字通りコロナで救急車が出動しても、搬送する病院が見つからないケースが、先週だけでも全国で８千件以上もあったというのです。その中で、ある病院は受け入れを断らないため、廊下にベッドを並べて、対応している様子が報道されていました。これを知り、想起したのは、かつて1995年3月20日のサリン事件や、1945年3月10日の下町大空襲の時、当病院のトイスラー・ホールや、チャペルが病棟として使われたことです。ここで「ありとあらゆる病や患いを癒されたイエス様とその仲間は、なりふり構わずに働かれたのだ」という光景が浮かんでくるのです。当時、保険証も、診察券もお金もない、そして苦しむ多くの人々を「あなたも大切な神様の子です」といって受け入れたイエス様の姿こそ、御国の福音の実現と民衆は受け止めたのではないでしょうか。（退職司祭 パウロ 佐々木道人）