「心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである」マタイによる福音書5：3
このイエスさまの有名な言葉は原文では、「幸いである」という言葉から始まっています。イエスさまは、8種類の人たちに、まずmakarioi「幸いである」と呼びかけられたのです。その人たちは、この世で、自分には誇れるものが何もなく苦労している人たちです。泣いている人、おとなしくて他人に合わせるために自分の意見を押し殺してしまう人、この世の理不尽さに怒っている人、優し過ぎて人から付け込まれてしまう人、純粋なのでこの世の不正や醜さを耐えるのが難しい人、仲違いしている人たちを仲裁しようとして双方から攻撃されてしまう人、迫害されている人など、この世でうまく行ってない人たち、生きるのが難しい人たちを「幸いである」とイエスさまは祝福しておられるということです。イエスさまが伝えようとしている神さまは、とりわけそういう人たちを祝福しようとしておられる方であることを示しています。「天の国」、神さまの国はそういう人たちを招いてくださる国であることをイエスさまは語っておられるのではないでしょうか。（司祭 シモン・ペテロ 上田憲明）