「人は、新たに生まれなければ、神の国を見ることはできない」(ヨハネ3:3)
ヨハネ福音書はユダヤ教の教師ニコデモに関心を抱き、今日の箇所を含めて3度ほど言及します。ユダヤ教の教師としての彼は悩みを深くしていたに違いありません。彼が「夜」(3:2)イエスを訪ねたのには理由があったことでしょう。彼を取り巻く社会を恐れたからに相違ありません。イエスは彼の深い悩みを先取りするように上に記した３:３の言葉を彼に掛けます。教師としてのニコデモの精一杯の知識では応答できません。イエスは「肉から生まれたものは肉である。霊から生まれたものは霊である」と語って、受け留め切れないニコデモに「風」を例に解き明かされます。「風」はギリシャ語で「プネウマ」　そして「霊」（プネウマ）も。「風」の力強さは「肉」や「律法」の世界を超えることの出来ない私たちの限界を一新する「霊」の力を表現します。私たちにはできない現実を信じる存在へと変えてくれます。あの富める青年（マタイ19:16、マルコ10:17）の物語の中で「神には何でもできる」という神を信じる「霊」を私たちのうちに誕生させます。その信は、あらあらしく奪われる私たちの日々の希望に「抗って」希望する(ロマ書4:18)生きる姿勢を誕生させてくれるに違いありません。（司祭　バルナバ　関　正勝）