「しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊と真理をもって父を礼拝する時が来る。今がその時である。」ヨハネによる福音書4：23
この名前のない、サマリヤの女の人とイエスさまとの会話はとても生き生きしていて、このサマリヤの女の人が、イエスさまとの出会いを通して，変えられていく様子が描かれているように思える。「霊と真理をもって」礼拝するのは、この女の人のように、ありのままの姿がさらけ出され、しかもそれが神さまによって受け止められているという信仰がなくては、起こらないとでも言っているかのようである。そして、この女の人は、それまで、皆の目を避けてひっそり生きようとしていたのに、イエスさまと出会ってからは、自分の町の人たちに、「この人こそがメシアかもしれません」と自分の隠していたことをむしろ言い表しながら、話して回っている。人々も、それがきっかけでイエスさまの話を聞き、しかもより深く聞く人たちも多くいて、イエスさまを、ひいては神さまを信じていくことになったと描かれている。弟子たちによる伝道はむしろそういう形で起こるのだとこの福音記者は言いたいのかもしれない。（司祭　シモン・ペテロ　上田 憲明）