聖路加国際大学 聖ルカ礼拝堂

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2024年4月28日 復活節第5主日(2024/05/08)

ヨナ 成 成鍾(ソン・ソンジョン) 司祭

「手助けする存在」ヨハネ14:15-21

今日の福音書でキリストは、弟子たちに聖霊を送ることを約束しながら、それを弁護者(16)だと言われました。原語によりますと弁護者は「側で助ける存在」という意味です。つまり、弁護士が依頼人を弁護して手助けするように、聖霊には私たちを手助けすることが主な役目として与えられているのです。そのように聖霊は、常に私たちの内外に伴いながら力になってくださっています。その方は天地創造以後、特にキリストが亡くなられた2千年前から今日に至るまで、私たちの手助けになってくださり、そのことは今現在も、今後も永遠に変わりません。では聖霊は私たちの何を手助けし、導いてくださるのでしょうか。

一つ目、手助けする存在として聖霊は私たちが生きるように、しかも良い人生を過ごせるように導いてくださいます。もちろん良い人生というのは、物質的なことに先んじることとして、日々平安や感謝の気持ちに満たされることを指します。真の命である聖霊は、不安や恐れ、抑圧されている記憶やわだかまり等から私たちを癒し解放してくださる存在として、私たち一人ひとりが真の平安と自由の中で生きられるように導いてくださるのです。

二つ目、聖霊は私たちが悟れるように導いてくださいます。聖霊は 真理の霊(17)、つまり悟りの霊なのです。キリスト教にとって真理とは、単純化して言えば神様とキリストそのもののことを意味します。それゆえ、真理の霊である聖霊は、私たちに神様の心を教えてくださる存在だと言えます。人間という存在は、神様に近寄ろうとする心と反対に逃げようとする心を持っています。ところがキリスト者は、聖霊の助けによって少しずつでありながらも神様に向かって進むことができます。私たち一人ひとりに向けられたみ心とご計画とは何かについて悟れるようになるわけです。祈りと黙想の生活もそのために行うものでありましょう。

聖霊の手助けに関する項目を二つ挙げましたが、聖霊がそのような存在であることについて告白された祈祷文があるのでご紹介いたします。聖公会の聖人として5世紀のアイルランドの主教、聖パトリック(St.Patrick、387-461)は次のように祈りました。「キリストは、私と共におられます。私の中に、後ろに、前に、側におられて、私を助け、慰め、回復してくださいます。キリストは、私の下に、上におられます。キリストは静けさの中にも、危険の中にもおられます。キリストは、私の愛する全ての人の心の中におられ、また友や見知らぬ人の言葉の中にもおられます。」

聖パトリックは、キリストはいつ何処でも私たちと共におられると告白しましたが、それはまさに聖霊のことに他なりません。聖霊という存在は、まるで息や風のように目で見ることや手で掴むことはできませんけれども、確かにある存在として私たちの内外に伴われます。今日の福音書を通しても分かりますように、復活なさったキリストは、愛する私たちのために聖霊を送ってくださいました。それゆえ私たちには、あらゆる縛りから解放された人生、真理に満たされる人生を送るためにも、聖霊が私たちの手助けになるために今も共におられることを確認し、また絶えず心の中に新たに迎え入れることが求められます。教会歴に準じますと今日が復活節第5主日ですので、3週間後に聖霊が下ってくることを記念する聖霊降臨日になります。これから日々の中で、聖霊を迎え入れる準備をしながら聖霊降臨日を迎える一人ひとりになりますように、また聖霊の生命力で満ち溢れる一人ひとりでありますようにお祈りいたます。

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