2004.01.25 第182号                                                           page1

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自然災害の悲劇と戦争による破壊のなかで

管区事務所総主事  司祭  ローレンス 三鍋 裕

昨年12月29日にイラン大震災救援募金のお願いを差し上げました。26日発生の地震でしたが27日、28日は週末休み、普通に言う御用納めの日でした。事務所スタッフも大奮闘してくれて発送しました。「亡くなられた方々、その家族、氷点下の寒さの中で家を失い寒さに震えている子どもやお年寄りを思いますと胸が締めつけられる思いです」とお願い状には書きました。

お正月に管区事務所に来て見ますと(管区事務所も大変でしょう!)、もう郵便振替の入金通知が複数届いていました。暮れの内にお送りくださった分です。年が明けると1月5日付の送金が多くありました。郵便局の業務開始の日です。関西の教会のいくつかは「元旦礼拝の信施です」とありました。阪神大震災の経験からでしょうか、新年のお祝いの時に困難の中にある人々のことを真っ先に覚えてくださいました。建築計画で苦労しておられる教会もあれば、本当に人数の少ない教会もありますのに、胸が締めつけられる思いが胸が熱くなる思いに変えられました。感謝です。聖公会の皆さんはやはりお優しいのです。時として意見の違いを抱えながらも、いざとなると本当にお優しいのです。私も改めてこの日本聖公会が大好きだと感じさせられました。管区の海外緊急援助資金から100万円を支出し、それに取り敢えず200万円を加えAction by Churches Togetherと聖公会のEpiscopal Relief and Developmentに150万円ずつ、合計300万円をすでに送金いたしました。

それにしても産油国イランで、どうしてこんな大きな被害になったのでしょうか。富が一部に偏っているのでしょうか。地震の危険が予想される地域で、なぜ地震に弱い日干し煉瓦の家に住んでいたのでしょうか。危機感が弱かったのかもしれません、慣れ親しんだ生活文化の問題もあるかもしれません。しかし一つ言えることは、当たり前のことですが砂漠には木がないことです。屋根の構造を変えようにも壁を補強しようにも、木材が簡単には手に入らないのです。少なくとも貧しい人々には。その結果が死者4万人です。4万以外に負傷者がいます。後遺症に苦しむ人も多いでしょう。家も親をも失った子ども、働き手を失った女性や高齢者、職を失った人々、死者4万人は広い意味では何十万人もの犠牲者を意味します。皆さんの地域の人口と比較して想像してみてください。

地域全体が悲嘆に暮れているのです。1月22日現在で日本聖公会婦人会や横浜外国人女性クラブなどの献金を含めますと240万円を超えるご協力を頂戴しております。厚く御礼申し上げます。現在ご相談いただいている教会も多いことでしょう。どうかよろしくお願い申し上げます。順次追加送金したいと存じます。出来ますれば2月末までにご協力願えれば幸いです。

この大震災の被害を通して思わされることは富の偏在ということです。イランは産油国でありながら、住民の文化があるにしろ貧しい人々は日干し煉瓦の家にしか住めなかったのは事実でしょう。富める者だけが富み、貧しい人は貧しいままに取り残されているのが被害を大きくした一因だと思うのです。これは決して今回の被災地イランのバムだけの問題ではありません。それにしても地震という自然災害でこの悲劇、戦争という意図的な殺人と破壊が許されて良いはずがないではありませんか。皆さんのお優しさに触れるにつけ、憎悪というものの恐ろしさを感じるのです。ご一緒に主の平和を祈り続けましょう。

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