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各教区主教・関係者、学校・団体等ご一同様へ

教区・教会の諸礼拝式文での祈祷書使用について、お願い

日本聖公会祈祷書等検査委員長 司祭 ルカ森田日出吉知的所有権や著作権などの扱いについてとかく論議を呼ぶことが多くなってきている昨今ですが、私たちの教区・教会のさまざまな営みのなかでも、聖書とか祈祷書の取り扱い方が適正かどうかを改めて問い直してみる必要があると思います。

 聖書については聖書協会が著作権を所有し、引用についても承諾申請を求めているように、祈祷書についても、いろいろな場面で用いられる礼拝式文の中で、祈祷書の文言が都合に合わせて変えられたりせず、正確に使用されているかどうかを点検する義務と責任を日本聖公会管区「祈祷書等検査委員」が担っています。

 しかし総会その他で、機会あるごとに繰り返しお願い申し上げているにもかかわらず、「教区主教の制定または認可だけを要する臨時使用の祈祷文」〔日本聖公会法憲第3条参照〕の範疇を越えると思われる諸礼拝、たとえば、あちこちで、次々に行われてきている教区主教の按手・着座式の礼拝式文をはじめ、他の聖職按手式や各種の大礼拝などについて、事前の検査依頼や届出がほとんどなく、勝手に一人歩きしている感が否めず、誠に残念でなりません。

 各教区主教・関係者、学校・団体等におかれましては、少なくとも、過去5,6年くらいの間に営まれた諸礼拝式文の検査・届出の有無について改めてご検証いただき、今後は諸礼拝執行の都度、管区事務所経由で、「祈祷書等検査委員」に事前に、付託していただけるような体制を整えておいてくださるように、重ねて、お願い申し上げます。         2004年 顕現節


管区人権担当者会について
                                                     宣教主事 司祭 木村 直樹
<はじめに>
 日本聖公会管区事務所に、人権問題担当者が置かれることになったのは、第49(定期)総会の決議によってです。その背景には、第38(定期)総会において、「天皇のための祈り」および「皇室のための祈り」の削除を内容とする「祈祷書改正の件」の議案の討論中に起きた被差別部落の人々を差別する発言(以下「中川差別発言」)があります。

 この「中川差別発言」は、発言を行った当事者だけではなく、日本聖公会総会が、このような発言を許したこと、つまり日本聖公会全体の差別体質に起因するものであったと、第49総会において、主教会は総括報告をしています。このような差別体質克服のために、管区に人権問題の担当者を置き、さらに部落差別問題委員会との協働として管区レベルでの人権啓発プログラムの開発、また『同和問題』に取り組む宗教教団連帯会議などの諸宗教、そして部落問題に取り組むキリスト教連帯会議などのキリスト教諸教団との連帯を進めてゆくことが、総会で報告され、この報告を受けて、人権担当者が置かれることになったのです。

<その後の動き>
 2002年に開催された第53(定期)総会の決議によって、部落差別問題委員会は、正義と平和委員会の中に置かれることになりました。その後、部落差別問題委員会は、委員会自身の判断で、その活動を停止することを決められ、管区の人権活動は、人権担当者と正義と平和委員会にゆだねられることになりました。この背景には、管区機構改革に伴う混乱があることは言うまでもありません。
 このような状況を受けて、管区人権担当者である濱生正直司祭(九州)は、1人で管区の人権活動や、部落解放同盟、諸宗教、他のキリスト教教団との連体活動を行うことは非常に困難であると痛感され、管区人権担当者を複数おくことを主教会に提案し、これが承認されました。

 こうして、西日本地区から三浦恒久司祭(京都)、東日本地区から鈴木慰兄(東京)が、新たに管区人権担当者に指名され、3名の方々によって、管区の人権啓発活動が担われることになりました。

 去る1月13日(火)に、管区事務所において、人権担当である五十嵐主教、3名の管区人権担当者、そして総主事、宣教主事が協議の場を持ち、以下のようなことを話し合い、実行に移してゆくことになりました。

<人権啓発活動の実施>
 この協議の場で、決まったことを報告いたします。まず、これまで部落差別問題委員会が開催してきた「部落解放セミナー」を、各教区に置かれている人権担当者と協働で、今年も実行することが決まりました。従来、部落解放同盟に協力を仰ぎながら実施してきた解放セミナーですが、今後は、各教区の主体的なかかわりを期待して、日本聖公会の人権啓発プログラムとしてゆく方向性が大切との認識からです。

 主教会の総括報告にも、神学校に対して、人権の学びを更に促進することが勧告されていますが、神学生が卒業した後、各教会に派遣される前の期間に、新任者研修(仮称)として、人権啓発のためのプログラムが実施されることになりました。今年は、九州教区の筑豊地区で、3月に開催されます。

 また、教区人権担当者や正義と平和担当者とのより一層の協働をはかるために、2月13日、14日の両日、東京において、人権・正義と平和担当者合同協議会を開催し、管区の取り組みを報告するとともに、各教区での取り組みを分かち合い、管区、教区の人権啓発活動のさらなる充実を計画しています。

<人権啓発と宣教>
 「中川差別発言」は、個人の差別意識から生じたものというより、日本聖公会の従来の宣教理解が、「小さくされている人々」に向かっていないことから生じたものであったと理解しています。

 わたしたちは、イエス・キリストを主と告白しながらも、その主イエスが、宣教の対象とされた「小さくされている人々」を、宣教の対象から外していたのです。昨年7月に開催された人権問題・正義と平和・青年担当者合同協議会では、講演者に「小さくされた人々のための福音」の著者である本田哲郎神父を招き、お話を伺い、主イエスがいかに底辺に生きる人々とともにいたのかを学びました。わたしたちは、この主イエスに従う者です。人権啓発活動とは、小さくされている人々と連帯することの中で、聖書を読み、主イエスの歩まれた道に、わたしたちも従ってゆくことにほかなりません。

 日本聖公会の人権活動が、神の導きによって、「小さくされている人々」と共に歩むものとなりますように、お祈りいただきたいと思います。

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