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日本聖公会各教区報のなかから
 ☆毎月、管区事務所また広報主事宛に送っていただく各教区報等のなかからご紹介しております。

マンション問題を解決 ─ 住環境を守った「教会」 ─

東北教区報『あけぼの』(第90巻第12号・2003年12月7日発行)

今年のイースターをお祝いした4月、私たちの教会と幼稚園のある保戸野中町に、全く思いがけず難題が降りかかってきた。7階建てのマンション建築の話である。しかも、聖堂入り口道路を挟んだ真向かいに建てるというから大変だ。

 事の詳細をここで述べる余裕はないが、概略はこうである。旧日銀秋田支店長宅が公売に掛けられ、仙台市に本社のあるマンション・デベロッパーが常識はずれの格安で落札した。

 教会周辺は、2階建て住居しか建っていない古い街並み、閑静な佇まいを保っている地区である。秋田市景観賞を受賞している保戸野中町通り、市有形文化財指定の教会、2年後に百周年を迎える市内で一番古い幼稚園があるといった低層住宅地帯にいきなり7階建てとは、住民にとって狐につままれた感じであった。

 第1回住民説明会後、私たち住民は動いた。ともかく幼稚園会議室に集った。そして、「保戸野中町の都市景観保全を求める会(会長 鷲尾三郎)」を結成した。教会が事務局となり、毎週1〜2回、夜集まって会合を続けた。

 秋田市で起きた過去の紛争経験者たちからの情報収集、インターネットから全国で起きているマンション紛争の情報を集め、問題解決に向けてノウハウを入手した。

 2週間ほどの極めて短期間で7千余名の建築反対署名を集め(最終的には1万筆に届く勢い)、市長と市議会に請願書を出した。
業者には現在見ての通りの環境を壊さないでもらいたい旨を頑固に発言していった。高層ビルが及ぼす被害、例えば日照、風、凍結の被害、圧迫感や威圧感など受忍限度を超える目に見えない影響を誰もが心配し、嫌がっている点を訴え続けた。

 結局、最終的には住民の粘り強い交渉が功を奏し、第3回説明会の席で業者に土地売買を承諾させた。1カ月後、地元有力者を通じて市内の企業グループ5社が旧公舎付きで土地を購入してくださった。丸4カ月を経過しての事である。この解決方法は全国にも例がないもので、まさに奇跡だった。神様のお導き、お恵みだ。毎日の祈りが聞き届けられたと思った。

 今回の事件がもたらした恩恵、感謝すべき点がある。
1.教会また幼稚園を近隣、地域住民がどんなふうに見ているかが明白になったこと。特に、なんと驚くべきことには、地域の方たちが教会・幼稚園を地域のシンボルと捉えており、この度の件ではとても心配してくださったこと。

2.教会・幼稚園が、気軽に安心して人々の集う場所となったこと。

3.地域住民の皆さんと顔つなぎが出来、そしてご近所、町内会の方ととても親しくなったこと。
「教会があったのでこの難局を越えられた」とある方がおっしゃられたのには感動もし、何よりも報われた思いだった。嬉しい限りだった。

 10月最後の主日、幼稚園・教会バザーが行われたが、近隣から献品はあるし、また当日足を運んでくれた方もありで、近しい交わりができるようになって本当に感謝している。抱え込んだ、いらなかった問題がかえって住民の親密になる機会となった。「災い転じて福となす」とはこのことである。

 求める会は、今後「地区計画」という住環境を自分たちで守る規制、ルールづくりを展開していく。教会は、今後も地域と共に歩み、世界に福音を宣べ伝えるものとされたい。

 何度か教会の鐘の音が話題となった。「みなさん今日も聞いていますか。」私はそう思いながら毎朝夕、時を告げ、礼拝の始まりを知らせる鐘を打っている。
                                 秋田聖救主教会 司祭 長谷川 清純


厚木聖ヨハネ教会    ─新しい歩み─

『横浜教区報』(第464号・2003年12月25日発行)

厚木集会伝道所は去る10月14日付で教会設立申請が認可され、厚木聖ヨハネ教会として新しい歩みを始めることとなりました。現在、12月末の教会委員会の設置など、教会としての形を整え、準備を進めている最中です。
 教会設立といっても、建物もメンバーもそのまま引き継いでの衣替えとなります。この群れがキリストの肢であることをはっきりと表したい、という希望によるものです。この厚木の地にあって、福音を伝えたいという一同の願いがいよいよ祝福されますよう、教区の皆様のご加祷をお願いいたします。
 厚木に教会が欲しい、という願いは、1986年の湘南宣教懇談会の発足の時から話題にされるようになりました。神奈川県においては今後も人口の増加が見込まれる場所でもあります。
 1987年に市内の森井謙介兄宅で初めての家庭集会が開催されました。園長のご厚意で、みどり保育園に場所を移し、湘南地区の教役者が交代で司式して礼拝がささげられていました。その間、日曜学校や子供のための工作教室なども開かれて、楽しく集会を続けておりました。
 1994年には小室司祭、清水執事が厚木集会担当に任命されてからは、メンバーの集結と土地取得に向けての働きが本格的に開始され、97年には教籍の置ける伝道所として認可、99年に現在の土地、建物(厚木市恩名)を取得し、現在に至ります。
 この間、東へ西へ、教会の集会バザーがあると聞くと行商に出かけては、土地取得のための基金作りにがんばってきました。(現在の借入金残高は700万円です)良い場所が与えられて、厚木の一同、働きが実を結んだと喜んでいます。
 しかし、何かにつけて教区の人たちが厚木のことを覚え、祈り、支えてくださったことを感じた数年であったことも思います。ある所で厚木の小さな手芸品のマスコットを見かけるときにも、遠くの教会から献金を頂いたときにもそうでありました。湘南地区、神奈川県、教区で、また聖公会で、新しい教会への大きな期待と希望があるのだと感じました。改めて一同より感謝の意を表したいと思います。そしてこれからの厚木聖ヨハネ教会の働きに主の御導きと御同伴を信じて、歩んでまいりたいと思います。
 厚木の建物や土地は和風の民家です。ただし増築部分は前の居住者が経営されていたバーで、そちらを改装して集会室として用いています。礼拝は英国レスター教区から頂いた十字架を床の間に掲げ、板張りにした部屋でささげています。クリスマスにはここの信徒だけでいっぱいになってしまうので、少し拡張の必要があります。神様が「わたしの民」(使徒18・10)と捉えておられる方々のために。
 この教会が地域の必要を知り、また神の言葉がこの地の人々に受け止められますように。
「わたしたちの」小さな教会ですが、教区全体の祈りの中で「神のもの」として献げられた教会であり、キリストの体という一つの命の内にあることを覚えて、主の栄光を顕わしたいと願っております。     司祭 ヨハネ 鎌田 雄輝


日本聖公会史談会が誕生

日本聖公会の歴史研究者が研究発表をして、互いに研鑚・情報交換をする場とすることを願って「日本聖公会史談会」が発足することになった。これは東京教区聖パウロ教会の李民洙執事の提唱によるもので、教会・教区・教派を問わず、日本聖公会史の研究に関心のある人ならば誰でも参加出来る。第1回の会合は3月13日(土)午前10時から12時まで、日本聖公会管区事務所の3階会議室で開く。当日の発表は卓志雄氏(韓国聖公会大学卒、立教大学大学院文学研究科組織神学修士課程修了。現在、清瀬聖母教会信徒・東京教区聖職候補生志願者。「月刊現代宗教」編集記者)が担当する。テーマは「日本聖公会におけるエピスコパシー理解に関する考察−15年戦争の後半を中心として−」。
 参加希望者は管区事務所(電話 03-5228-3171)か、世話人の諌山禎一郎氏(e-mail: isayama@ttv.ne.jp)まで申し込むこと。なおこの史談会の発起人は上記の3人のほか名取多嘉雄氏(川崎聖パウロ教会信徒、元立教女学院短大学長)、大江満氏(立教学院史資料センター学術調査員)、佐藤良徳氏(東京聖テモテ教会信徒、同教会百年史編集委員)。
 この会合は2、3か月おきに開催することを予定している。次回は6月開催の予定。規約、年会費、会報発行などは今後決めていくとしている。

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