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日本聖公会管区事務所だより
《速報版》                   187号      2004年7月25日
                                   
                                  

新潟豪雨による災害の現状

管区事務所総主事 司祭 ローレンス 三鍋 裕

別欄に掲載するウガンダからのお礼状をご覧ください。HIV/エイズだけではなく栄養障害の子どもに言及されています。かなり厳しい状況のようです。皆様からお預かりしている重債務国復興のための資金から応援を差し上げています。

 同じく南アフリカ・ハイヴェルド教区のエイズ問題担当者であるリン・コウル執事からもお礼状をいただきました。「ご支援に心から御礼申し上げます。おかげさまで多くの人々に治療や予防教育の手を差し伸べることが出来ます。8月の総主事会議では皆さんに現状報告をするように頼まれています。直接お目にかかってお話出来ることを楽しみにしております。」(注・8月末に南アフリカのヨハネスブルグで開催される聖公会総主事会議のこと)

 どうぞそれぞれの働きをお祈りにお覚えください。その地の人々の働きだけではなく、その地において私たちの代わりに働きを捧げていてくれているのですから。

 管区には上記の資金がありますし、海外緊急援助資金もあります。すぐに活用できるように使用規定も定められています。今回慌てたのは、国内の災害のための備えが明確でないことです。阪神淡路大震災の時などは「超法規的」に動いたのでしょうが、今回の中部教区三条聖母マリア教会・幼稚園の水害被害には困りました。幸か不幸かすぐに現金がなければ困るというより、これから長く大変な復興作業が続けられる性質ですので、現地の大西司祭の第1報と第2報とともに緊急募金のお願いを各教会に送らせていただきました。

 今朝(7月20日)、私は三条にお見舞いに上がりました。駅前の交番で道を尋ねると「遠いからタクシーを使ったら」と言われ、タクシー会社に行くと「タクシーは洪水で全滅です」と寂しそうに言われました。近くの駐車場には泥だらけのタクシーが並んでいました。教会まで1時間ほど歩きましたが、道路は各家庭から出されたゴミの山。畳から始まり、使えなくなった家具、特に家電類を先ず表に捨ててから家の中の泥を洗い流す作業ですから大変です。洗い流すと言っても、やっと水道が復旧したばかりですし、雨が上がったら上がったで、汚泥が風で舞い上がりますし、除湿用でしょうか石灰も舞い上がります。道すがら2軒だったでしょうか3軒だったでしょうか、お弔いの案内が出ていました。洪水が直接の原因だったかどうかわかりませんが、お年寄りがショックで体調を崩されたのでしょう。
 教会・幼稚園にはボランティアが10人以上働いていました。新潟の丁司祭や会津若松の矢萩司祭のお姿もありました。ボランティアは延べで100人を超えるそうです。幸い園児は早めに帰宅させたので無事でしたが、見る見る水位が上がって園の書類も持ち出せなかったとのこと。決壊した堤防も見ましたが、水の恐ろしさを改めて知らされました。土台ごと浮き上がった家もあり、田畑には流された自動車が放置されています。ボランティアの働きもあり汚泥はほぼ洗い流されていましたが、これからが本格的な復旧作業になります。園庭の汚泥除去は自衛隊が担当しています。19日現在、信徒の家15軒、幼稚園児109名の家のうち71軒、教職員の家5軒が床上・床下浸水の被害に遭っているとのこと。教職員は自らが被災者でありながら、園児の状況掌握と園の整理に追われ、疲れが目立ってきたそうです。「地域社会のためにも頑張ってください」とは、とても言えませんでした。

 ボランティアで出てくださる方は、必ず事前に現地の大西司祭の指示を受けてください。寝るのも、食べるのも、飲むのも(飲料水のことですから念のため)自己責任と考えてください。水道は一応復旧していますが、現在宿舎に使われている長岡の教会にも限界もあります。大きな困難ではありますが、「皆で助け合ってここまで来たね」と喜び合える日が一日も早く来ますようにお祈り申し上げます。

 遠いアフリカの子どもたちのこと、三条の子どもたちのこと、福井の子どもたちのこと、もっと近くの人々のこと、自分たちの家族、だれもが私たちの祈りから忘れられませんように。よろしくお願い申し上げます。(教会を通してのボランティア活動は終了したとのご連絡をいただきました。)

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