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ウガンダでお働きの、日本キリスト教海外医療協力会派遣ワーカー北川恵以子医師からの手紙

日本聖公会の皆様へ
この度、皆様から、ウガンダのチオコ病院に多額のご寄付を、5年間に渡っていただけることになり、心よりお礼を申し上げます。

 チオコは、首都のカンパラから北へ85kmのところにあります。ウガンダでは、1970年代から1980年代後半まで続いた内戦で30万人の人々が殺されましたが、チオコのあるルエロ郡は、ルエロ三角地帯と呼ばれ、政権を巡っての最激戦地帯となりました。内戦が終わった今も、多くの人が貧困と戦争によって破壊された困難な生活に苦しみ、更に1980年代から流行した、HIV/エイズによって苦しんでいます。(エイズというのは、HIVというウィルス感染が進行し、免疫力が極端に低下した状態をいいます。)HIV感染は、働き盛りの人に多く、感染により、一家は働き手である父親や、子どもを育てる母親を失い、貧困や複雑な家庭の状況に苦しみます。病気自体の進行も大変苦しいものです。更にHIVに感染した母親が出産した子どもの3分の1は母親からHIVの感染を受けます。
 私は、この病院で2001年から2003年まで一期目の仕事をし、一時帰国のあと、今年から再び2期目の仕事を始めています。一期目は小児病棟で主に働いたのですが、最も病で苦しんだ子ども達は、HIVに感染した子ども達でした。その子ども達のために、HIV陽性児訪問診療を始め、信仰心が厚く真摯で患者さんに深い愛情を持つ地元のスタッフや、イギリスのミッショナリーから送られた人々と共に、診療サービスを築きあげてきました。
 今回ご寄付をいただきましたお陰で、大変充実したサービスを患者さんたちに届けることが出来るようになりました。下に記しましたものは、スタッフと何度もミーティングを開いて、決めた提供するサービスです。
1) サービスを受けることのできる子どもは、原則的に、チオコを含むチカムロ・サブカウンティー(サブカウンティーとは群を構成する小さな単位)という地域に住む子どもに限られます。しかし、チカムロ・サブカウンティーでサービスを受けていた子どもがチカムロの外に転居し、極端に貧困であったり孤児であるなどの事情によっては、これを越える地域に住む子どももサービスを受けることができます。

2) HIV陽性であることが、検査の結果確かめられた子どもには、無料診療を受けるための、身分証明書を発行します。この身分証明書を持ってきた子供の、外来での治療費や検査料、入院費はすべて無料とします。入院中の患児の食事は、栄養障害治療プログラムから支給されます。(ウガンダには入院患者のための給食サービスはありません。)

 3) 通院のための交通費が払えない貧しい人には、交通費を支給します。

4) チオコ病院は、すべての患児に付添人が必要ですが、家庭の事情で付き添えないときには付添人が雇われ、この訪問診療サービスの予算から付添料が支払われます。また、付き添いをする家族が貧しくて現金がなく、食物を買えないときには、食費を支給します。(病院では給食のサービスがないので、家族は現金で病院の近くの食堂から食物を買います。これを買えず低血糖発作を起こす家族がときどきいます。)

5) サービスを受けるこれらの子ども達の中から、在宅の比較的重症な子どもを選び、2週間か4週間に一回、医師同伴で訪問診療を木曜日に行います。

6) また、医師の訪問日には各家庭であまり時間をとれませんが、それほど重症でない子ども達の中から、家族へのサポートや栄養指導を必要とするケースを選び、エイズ・カウンセラーと栄養士が水曜日に訪問診療を行います。訪問診療はすべて無料です。

7) 貧しく、栄養状態の悪い子どもには、月一回、約2万シリング(日本円で千円あまり)の栄養価の高い保存食が無料で配布されます。また、HIV陽性でなくても貧しくて栄養不良の子どもがいるときには、状況によって無料で食料が配布されます。

8) 貧しい家庭の患児には、マラリア予防のために殺虫剤を布にしみこませた蚊帳が支給されます。

9) 3ヶ月に一回、HIV陽性児と保護者(主に母親や祖母)が集まり、栄養障害教育や家族計画の教育を受け、ゲームをしたり互いに話しあたったりするワークショップを開いています。交通費と、モーニング・ティーと昼食が無料で提供されます。このワークショップは大変好評で、差別を受けるためHIVに感染していることを誰にも話せない母親たちが、この場ではそれを隠す必要がなく、病気や子どもや家族のことを話しあったり、互いにアドバイスをして助け合ったりすることができます。

10) 自身もHIVに感染している母親たちが現金収入を得ることができるよう、テーブル・マットなどを作ることを奨励していますが、外国からの訪問者などの間で、徐々に需要が増えています。

11) HIV陽性児の治療に当たる、カウンセラー、栄養士、医師などに、HIV治療の質向上のためのトレーニングを首都のカンパラで受けさせるための費用が支払われます。

 これから、このHIV陽性児のためのサービスがどのように行われているか、定期的にお便りを差し上げます。

 遠い国の、困難に状況の中で苦しむ人々に寄せられます、皆様の、主にある深いご慈愛に、重ねて深い感謝を申し上げます。

かしこ    

2004年7月11日
北川恵以子

重債務国開発協力資金より、南アフリカ・ハイヴェルド教区エイズ撲滅活動のために10,000ドルを2003年から5年間。また、ウガンダのチオコ病院のために2004年から200万円を5年間。それぞれお献げすることが決まっています。
『管区事務所だより』2003年5月25日付第175号、2004年3月25日付第184号の関連記事をご参照ください。

 重債務国開発協力資金より、南アフリカ・ハイヴェルド教区エイズ撲滅活動のために10,000ドルを2003年から5年間。また、ウガンダのチオコ病院のために2004年から200万円を5年間。それぞれお献げすることが決まっています。
 『管区事務所だより』2003年5月25日付第175号、2004年3月25日付第184号の関連記事をご参照ください。

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