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NCC中国訪問代表団参加報告ー中国のキリスト教会(1) 阪田 隆一(日本聖公会管区事務所・総務主事) |
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1.第3回NCC中国訪問代表団の主な日程および参加者 | |||
・日程: | |||
9月1日(水) | 上海着 | ||
9月2日(木) | 中国基督教協会・三自愛国運動委員会本部にて協議 | ||
東華神学院にてフリーディスカッション | |||
9月3日(金) | 午後 南京へ移動 | ||
9月4日(土) | 南京:江蘇省基督教協会・三自愛国運動委員会事務所訪問、南京金陵協和 | ||
神学院にてフリーディスカッション、愛徳基金会(AMITY)事務所・印刷所訪問、南京大虐殺記念館見学 | |||
9月5日(日) | 午前 西安へ移動、東関教会にて夕礼拝(渡部牧師説教) | ||
9月6日(月) | 西安:「大秦景教流行中国碑」を見学 午後、北京へ移動 | ||
9月7日(火) | 北京:北京基督教協会・三自愛国運動委員会事務所訪問、国家宗教事務局訪問 | ||
9月8日(水) | 帰国 | ||
参加者: | 鈴木伶子(NCC議長、訪問団団長)、渡部 信(NCC中国委員会、日本聖書協会、訪問団副団長)、山本俊正(NCC総幹事)、平岡正幸(NCC書記、日本福音ルーテル教会牧師)、黄 大衛 [HUANG DAWEI](日本福音ルーテル教会牧師)、石塚多美子(日本バプテスト同盟牧師)、薛 恩峰 [XUE ENFENG](日本基督教団牧師)、下山田誠子(NCC中国委員会)、富沢千代(NCC中国委員会)、和氣三郎(東南アジア文化友好協会)、中井美和子(日本聖公会、青年)、阪田隆一(日本聖公会)の12名 | ||
2.中国基督教の沿革 | ||
中国の教会について述べるときには、中華人民共和国の建国および文化大革命、それらの大激動の中で生まれた「中国基督教三自愛国運動」および「中国基督教協会」の設立について触れなければならない。 (以下、1995年10月発行『アジア通信』No.135掲載、彩虹氏の「苦難と復活」による。) 現在の中国のプロテスタント教会は、中国基督教三自愛国運動委員会と中国基督教協会の二つの組織によって運営されている。 三自愛国運動:中国でプロテスタント教会が宣教を開始したのは19世紀に入ってからである。しかし、ひとつは中国人の中華思想によって、もうひとつには歴史的、政治的な原因によって、中国のキリスト教はあまり伸長しなかった。1949年(10月1日、中華人民共和国建国)前までのキリスト教信徒は70万人ほどであったといわれる。 1949年、中華人民共和国建国が成ると、中国政府は中国から共産主義国以外の外国勢力を徹底的に排除した。その時、キリスト教の宣教師たちも例外なく追放され、外国の宣教団体の財産は、学校や教会そして社会施設に至るまで、中国政府に没収されることになった。このようにして、外国の保護を失った中国の教会は国内で孤立してしまい、苦しい立場に追い込まれた。 この局面を打開するために1950年4月、キリスト教の5つの団体の代表者たちは北京に集まり、政府当局者と中国のキリスト教の将来に関して話し合いをすることになった。翌年の5月までの間に3回にわたり周恩来首相との会談を重ねることができた。中国のキリスト教の指導者たちは、教会の進むべき道を求めて、「三自愛国運動」の方針を提示した。三自とは、自養(=中国人自身の力で教会を支えること)、自治(=中国人自身で教会の運営にあたること)、自伝(=中国人自身の力で伝道すること)の3つの自立を目指すものである。この方針は、周恩来首相の賛成するところとなり、政府の承認を経て「中国基督教会宣言」が出されるに至った。その宣言は、新しい活動の2つの方針を示している。第一、中国における教会は帝国主義とのいかなる関係も断つべきこと、第二、中国における教会は完全な自立を実現し、新しい中国の建設のために努力すること。中国基督教協会:文化大革命(1966年?1976年、教会は閉鎖され、没収された礼拝堂は違う目的に使用された。聖書や讃美歌はことごとく燃やし尽くされ、クリスチャンは激しい迫害を受けた)の後の1980年、中国キリスト者は、中国基督教協会(CCC)を組織した。プロテスタントの諸教派から成る合同教会である。 今日、1982年に制定された新憲法のもとで、信教の自由が認められて、中国のキリスト教は急速な発展を続けている。 この中国基督教三自愛国運動委員会と中国基督教協会は併せて「両会」と称される。両会の事務所は同じ場所にあり、委員長また会長は、しばしば同じ人物が兼ねることが多い。 両会の本部は上海にあり、また各省、各市等の行政単位ごとに両会の事務所(支所)がおかれている。訪問団は上海の本部および上海、南京、北京市にある両会事務所を訪問、歓迎を受けた。 この他に、カトリック教会(ただし、ローマとの繋がりは絶たれている)、また、国家から認められていない地下教会があるといわれている。この地下教会は、違法な宗教活動として厳しい監視下、弾圧下にあると聞いている。 |
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3.両会を訪問して | ||
以下、主に北京の基督教協会・三自愛国運動委員会事務所で伺ったこと、各所で断片的に知り得たことを羅列する。 ・中国基督教会会員数:1700万人?1800万人(中国の人口は約13億人)。因みに日本のクリスチャン人口は120万人(日本の人口は約1.3億人)で、どちらもクリスチャン人口は総人口のおよそ1%である。が、人数はひと桁違う。また、中国基督教会の方は、1996年の『第2回NCC訪中団報告書』によれば、会員数は800万人から1000万人とあるから、この8年の間に信徒が倍増したことになる。 ・教会数(牧師がいる):10000 北京で伺った話では、信徒が増える一方で、礼拝堂の確保と牧師の育成に追われている。現在、建築計画中の礼拝堂は6件、礼拝堂は2000名収容、最低でも500名は入る建物を建てたいという。 ・献金について:北京の両会事務所で次のように伺った。月約献金の制度、礼拝の中での献金はない。献金は、礼拝堂に置いてある献金箱に随時奉げる。信徒一人あたりの1回平均献金額は約2元(30円)、しかし、500万元というような大口の献金もある。信徒は神の恵みを受けるために教会に行くのであるから、信徒にとって献金が負担にならないようにと考えている、という。 ・北京市基督教協会本部への分担金:教会の収入の20% @ペットボトルの水(上海のコンビニエンスストア):2元(30円) @〜Cはこれを3〜4倍するとほぼ日本の物価と釣り合う。D後は立派なホテルではあったが、観光客相手としても随分と高い。E聖書は、誰でも買えるように値段を安くしてある、一番安い聖書は、1元から買える、という。因みにこのサイズの日本聖書協会の新共同訳聖書は4000円程度である。 6日の日曜日は、西安の教会の夕方の礼拝(聖餐式)に出たが、出席者はおよそ300人、日本聖公会の教会では考えられないほどの出席者数である。 礼拝堂での特別な紹介はなかったものの暖かく迎えられた。礼拝の終わりの讃美歌では、聖歌隊は、私たちの方に向かって手を振りながら歌ってくれた。礼拝後は、会衆席でどちらからともなく歩みより握手を交し合った。加害者と被害者という両国の不幸な歴史を越えて、また、それぞれの教会が置かれている状況は違っていても、「主にあってひとつ」という言葉を実感したときであった。教会の聖歌隊と訪問団の何人かの方たちとの交流があり、聖歌隊は私たちがバスで帰る時にも讃美歌で送ってくれた。(つづく) |
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