聖霊降臨日

<特   祷>

全能の神よ、この日あなたは、約束された聖霊の降臨によって、すべての民族、国民に永遠の命の道を開かれました。どうか福音の宣教によって、この聖霊がますます世界に注がれ、地の果てにまで広がりますように、聖霊の一致の内に父と一体であり、世々に生き支配しておられる主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

<聖   書> 使徒言行録2:1~11

        ヨハネ20:19~23

<メッセージ> 今日、もう一度、祈りましょう

父と子と聖霊の御名によって アーメン

先日千葉を中心に大きな地震がありました。被害が大きくなりませんように、また不安の中にあるかたがたのためにお祈りしましょう。最近、パエスチナとイスラエルの間の争いが、またまた激しくなるのではととても心配です。何とか平和と和解、共生に向けた対話に入ることができればと祈るばかりです。10年以上前になりますが、ローマ・カトリック教会の教皇フランシスコが、当時のイスラエルのペレス大統領とパレスチナのアッバス議長を、バチカンに招待したことがありました。それも政治的な話をしようというのではなく「一緒に祈りましょう」と、バチカンへ招待したのです。確か聖霊降臨日に近い日だったと思います。この100年、ひどい争いが続いています。どれほどの悲劇が、パレスチナの人々、イスラエルの人々を襲ったでしょうか。特にパレスチナの人々の苦難は非常に大きい。血で血を洗うような争いが、ずっと続いていて、やがて、双方が最後の一人まで殺し合わなければ終わらないのではないかというような、出口の見えない状況の中で、教皇フランシスコは呼びかけました。「どうぞ、わが家にいらしてください、そこで一緒に祈りましょう」と。そして驚くべきことに、イスラエルのペレス大統領、パレスチナのアッバス議長、二人がそれを受け入れました、政治的な会談ではありません・・・ただ「祈りましょう」という誘いを受け入れたのです。でも考えてみましょう、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、これらは本来兄弟姉妹の宗教です。同じアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神から始まった、世界三大一神教として、エルサレムを、皆聖地としています。皆、「アーメン」というお祈りの終わりの言葉を持っています。本当は、共に祈ることができる兄弟姉妹の宗教です。しかし、残念ながら、好転するかに見えたのですが、今だ厳しい争いや対立が続いております。

 今日「聖霊降臨」という祝日は、教会の誕生日と言われる大切な主日です。

 この出来事が起こる前、弟子たちはじめ主イエスの群れは、人々の目を恐れて、迫害を恐れて、一つ家にいました。使徒1:14「弟子たちは皆、婦人たちやイエスの母マリア、またイエスの兄弟たちと心を合わせて熱心に祈っていた。」とあります。先生であるイエスを見捨てて逃げ去った弟子たち。イエスの家族からなぜ見捨てたかと詰め寄られてもしょうがない弟子たちと、イエスの母マリアはじめイエスの家族が、恩讐を超えて、心を合わせて祈っています。わたしはそこに深い祈りと赦しがあったことに感動するのです。

そして2:1には「一つになって祈り、集まっていると」聖霊降臨の不思議な出来事が起こります。主イエスの福音を集まっている人が、それぞれのお国言葉で聴くのです。神さまはすべての民族、国民に永遠の命の道を開かれました。さらに大切なのは、言葉が違う人々が、お互いに神さまの大きな愛を理解し合えたと言うことです。十字架に示された神さまの愛が、人々の心を暖めています。

ノーベル文学賞受賞者のオルガ・トカルチュクさんは言います。

「優しさは、関係するすべてに人格を与えます。

優しさは。愛の最も慎ましい形です。人を罪にも嫉妬にも導きません。

優しさは、自発的で無欲です。他者を深く受け入れることです。

優しさは、わたしたちの間にある結びつきや類似点、同一性に気づかせてくれます。・・・・・」(「優しい語り手」2021年、岩波書店 41頁以下)

聖霊降臨の出来事は神さまの優しさの頂点にある出来事ではないでしょうか。皆が一緒に祈っている。皆、違いを乗り越えて、分かりあえている。

 

今の中東、ウクライナとロシア、ミャンマーの人々、スーダンの人々、特に深い苦しみと悲しみの中にいる方々が願っているのは、それぞれが信じている神さまの大きな愛を互いに理解し合うことではないでしょうか。政治的な折衝で、話し合いで、平和をもたらす。それはすごく大事なことです。政治に携わる人々のためにお祈りましょう。しかし、人間の才能、人間の努力、人間の愛だけで、本当に解決できるのか。大切なのは、「祈り」ではないでしょうか。

<祈りの働き>1、聖霊降臨の出来事 2:2では「突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。」祈りは神さまに思いを向けることですが、同時に神さまの内にあること、包まれてあることを思い起こさせてくれるものです。

2、祈りは関係を癒します。「主の祈り」に、「わたしたちの罪をお赦しください。わたしたちも人をゆるします。」とあります。私の罪を赦して下さい。ほら私に罪を犯した人を赦しましたから、というのは交換条件みたいでしっくりきません。こう考えたらどうでしょうか。こどもに何かを教える時、「私がこれからすることを見てごらん」そして、「次はあなたがやってごらん」と言うことがあります。神さまは私たちに赦しを与えてくださいました。では今度はあなたが、神である私に見せてください」と言っておられると、考えたらどうでしょうか。

今対立と争い渦巻く世界に必要なのは、平和と和解を願って、みんなで「あなたのことをわかってあげられなくて、悪かったですね」と言い合うことです。悔い改めて心底赦し合うことです。祈りは関係を癒します。

3、祈りは、繰り返し、短く。しかし、どうしても心がざわついて、落ち着かない時があります。メールを見なければ、ガスは止めたかしら、電気は消したかしら・・・・・・。そのような時、とてもいいお祈りがあります。「神さま、主よ、速やかにわたしを救い出してください。」

今世界に必要なのは、このよう苦難、憎しみ、恐れから「すみやかに救い出してください」という祈りです。※1

 祈ってなんとかなるのか、ごもっとものご意見です。

しかし、今もう一度、あきらめずに「一緒に祈ろうよ」という呼びかけが必要なのではないでしょうか。「人の力を越えて「祈りの力」に信頼する、これこそ聖霊降臨節にふさわしい出来事ではないでしょうか。

 今日、聴きました福音書において、わたしたちは主イエスから、「あなたがたに平和」という息を吹きかけていただきました。ですので、私たちは、主イエスさまがこの全世界に「あなたがたに平和」といって、聖なる霊の息を吹きかけてくださる日が来るようにお祈りしましょう。

 イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父が私をお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。聖霊を受けなさい。あなたがたが赦せば、その罪は赦される。赦さなければ、赦されないまま残る」(ヨハネ20:21~23)。これこそがわたしたち教会の使命です。

 聖霊降臨日、聖霊の働きに心を開いて、中東、ロシアとウクライナ、ミャンマー、スーダン、世界の紛争地域を憶え、平和を祈る日にしましょう。

 もしかして、皆様の祈りによって世界に和平が訪れるかもしれません。世界は今、みんなの祈りを求めています。先主日は主イエスが、わたしたちのため、世界のために祈ってくださいましたが、今日は主イエスが、私たちの祈りの言葉を求めておられます。私たちの祈りの声を聞きたいと主イエスは求めておられます。神さまが、私たちの祈りを求めておられます。そのための聖霊降臨日ではないでしょうか。皆様、ご一緒にお祈りしましょう、

「聖霊来てください。 信じる私たちの心を、あなたの愛で満たしてください。今苦しんでいる世界に、まことの平和をもたらしてください」 

父と子と聖霊の聖名によって アーメン

※1 ローワン・ウイリアムズ著 ネルソン橋本ジョシュア諒訳 西原廉太監訳「キリスト者として生きる 洗礼 聖書 聖餐 祈り」91頁以下、2021年2月25日初版、教文館 とても良い本です。お読みください。

<ウクライナとロシアの人々と、平和のための祈り>

正義と平和の神よ、

わたしたちは今日、ウクライナとロシアの人々のために祈ります。

またわたしたちは平和のために、そして武器が置かれますよう祈ります。

明日を恐れるすべての人々に、 あなたの慰めの霊が寄り添ってくださいますように。

平和や戦争を支配する力を持つ人々が、知恵と見識と思いやりによって、 み旨に適う決断へと導かれますように。

そして何よりも、危険にさらされ、恐怖の中にいるあなたの大切な子どもたちを、あなたが抱き守ってくださいますように。

平和の君、主イエス・キリストによってお願いいたします。 アーメン。

<黙想しましょう。>

大阪教区成立100周年のため

この社会にあって、居場所がなく、生きづらさを感じている人々のため

新型コロナウイルス感染症の収束のため

戦争や災害に苦しむ人々のため 特にスーダン、ミャンマーの人々、石川・珠洲市を中心とした地震被災者を憶えて。

<主の祈り>

救い主キリストが教えられたように祈りましょう。

天におられるわたしたちの父よ

み名が聖とされますように

み国が来ますように。

みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。

わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を

ゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救いください。

国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン

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