聖霊降臨日

本日は主教スケジュールの都合により動画はお休みいたします。

聖霊降臨日 2022年6月5日 黙想のヒント

主教 アンデレ 磯 晴久

<特   祷>

全能の神よ、この日あなたは、約束された聖霊の降臨によって、すべての民族、国民に永遠の命の道を開かれました。どうか福音の宣教によって、この聖霊がますます世界に注がれ、地の果てにまで広がりますように、聖霊の一致のうちに父と一体であり、世々に生き支配しておられる主イエス・キリストによってお願い致します。アーメン

<聖   書> 使徒言行録2:1~11(参考 創世記11:4)

        

<メッセージ> ペンテコステ(聖霊降臨日)とバベルの塔物語

父と子と聖霊のみ名によって、アーメン

 私たち聖公会という教会は、教会の暦を持っています。教会の暦には3つの柱となるお祭りがあります。

 まず、1つ目の柱は、皆様がよく御存じなクリスマスです。それは冬のお祭りです。最も寒く暗いさなかに神さまのお子様がお生まれになるということをお祝いします。わたしたちの世界の暗さと闇を、打ち払おうという神様の愛の出来事です。

 2つ目は、最近宣伝に使われることがありますが、HAPPY EASTERです。イースターは春のお祭りです。冬が終わろうとしています。わたしたちの人生には、つらいこと悲しいこと、苦しいことがいっぱいあります。そうしたことを主イエスの受難・十字架の出来事と重ねて冬を過ごし、そしてついに春がやってきます。春の来ない冬はない。その喜びを主イエス・キリストの復活の出来事と重ね合わせてお祝いします。死や私たちの罪を乗り越える神様の大きな愛の力を確認します。

 3つ目がペンテコステ、聖霊降臨日です。イースターから50日経った日(ギリシャ語でペンテコステと言います)にお祝いされ、「教会の誕生日」と言われています。

 では、ペンテコステ(聖霊降臨日)とはどのような出来事だったのでしょうか。

 復活した主イエスに出会い、生きる希望を見出した弟子たち、そこには女性たち、イエスの母マリア、イエスの兄弟たちもいました。彼らはある家に集まり、励まし合い、熱心に祈っていました。しかし、ユダヤ人を恐れて、まだ家から外に出ることはできませんでした。そしてイースター・ご復活日から50日目に突然、天から聖霊降臨の出来事が起こりました。もちろん何もないところで起こったのではありません。50日間、引きこもってはいましたが、祈りと分かち合いと支え合いがあって、聖霊降臨の出来事が起こりました。

聖霊降臨を語る時、よく「バベルの塔」の物語が相対する出来事として語られることがあります。創世記11:1節以下です。彼らは「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして全地に散らされることのないようにしよう。」自分たちの力で、塔を建てよう、名を上げよう、領土を拡大し、安心して生きて行けるようにしようというわけです。

旧約聖書の預言書ゼカリヤ書第4章6節に「武力によらず、権力によらず、ただわが霊によって、と万軍の主は言われる。」とあります。自分の力(武力、軍事力、経済力・・・・)により頼みすぎると、よくない方向に向かうことがあります。自己中心、破壊的な政治や独裁的政治や生まれてきます。歴史が教えてくれますし、今も世界のあちこちで、危うい空気が流れています。(ウクライナが本当に心配です。ミャンマーもアフリカ諸国も)

 バベルの塔の物語はどうなったかというと、彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話していたのですが、神様は、言葉を混乱させ、互いの言葉を聞き分けられないようにされ、彼らを全地に散らされたのです。「散らされるお恵み」という珍しいおめぐみがあるのです。人間が破壊的、暴力的にならないように、散らされたのです。

 では聖霊降臨はどのような出来事だったでしょうか。皆一緒に集まっていました。バベルの塔は、天に届かせようだったのですが、聖霊降臨は「天から」というのです。救いは天から来るのです。そして、「名を上げよう」ではなく、「聖霊に満たされよう」なのです。バベルの塔の人々には、思いもよらなかった平和と安全の道が開かれることになりました。

 そして不思議なことが起こります。聖霊に満たされた人々は、他国の言葉で語りだしました。ガリラヤの人々が神の大きな働きを、いろいろな言葉で語りだした。バベルの塔では大混乱が起こったのですが、ここでは皆が神様の大きな働きを理解し合える、奇跡が起こりました。

今、聖書翻訳が可能とされる6,900言語のうち、聖書が一巻以上訳されている言語は2,454言語あるそうです。そのうち聖書全巻が一冊の書物として訳されているのは438言語。すごいですね。神さまの大きな働きが、2千数百の言語で理解し合えるのです。

 引きこもっていた弟子たち、女性たち、イエスの家族は、聖霊の力を得て、勇気をもって、扉の鍵を開け、外に出て、神様と人々のために働き始めます。

 高い塔を作ろう、名を上げよう、力に頼ろうではなくて、心を合わせて、祈り、支え合い、助け合い、天からの力に頼り、理解し合っていくことが、世を救うのでないでしょうか。

 わたしたちもお互いの命を守り合い、気遣い合いながら、でも恐れることなく、ゆっくりと教会の扉を開けていきましょう。神さまと人々に仕える働きを開始しましょう。

真理のみ霊があらゆる真理に皆さんを導き、イエス・キリストを主と告白し、神のみ言葉とみ業を宣べ伝える恵みをますます与えてくださいますように。

父と子と聖霊の聖名によって アーメン

<ウクライナの平和のための祈り>

正義と平和の神よ、 

わたしたちは今日、ウクライナの人々のために祈ります。 

またわたしたちは平和のために、そして武器が置かれますよう祈ります。 

明日を恐れるすべての人々に、 あなたの慰めの霊が寄り添ってくださいますように。 

平和や戦争を支配する力を持つ人々が、知恵と見識と思いやりによって、 み旨に適う決断へと導かれますように。 

そして何よりも、危険にさらされ、恐怖の中にいるあなたの大切な子どもたちを、あなたが抱き守ってくださいますように。 

平和の君、主イエス・キリストによってお願いいたします。 アーメン。 

<主の祈り>

救い主キリストが教えられたように祈りましょう。

天におられるわたしたちの父よ

み名が聖とされますように

み国が来ますように。

みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。

わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を

ゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救いください。

国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン

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