招宴 2016年12月号 牧師巻頭言から

 

アウグストゥスの時代に
ユダヤのベツレヘムで


管理牧師 主教 アンデレ 大畑(おおはた) 喜道(よしみち)


  主のご降誕をお祝いすることができることを嬉しく思います。皆さんはどのような一年を過ごされたでしょうか。喜びに満ちた年であったという方も、愛する者と別れなければならなかった悲しい年であったという方もおられるでしょう。来る年も、神様の祝福を受けて、福音を告げる責任を果たしてまいりましょう。
  クリスマスを皆さんは本当に喜びをもって迎えていますか。童話などで「昔々ある所に」というような出だしをよく聞きます。しかしイエスの誕生は、「昔々ある所に」ではなく、「アウグストゥスの時代」と、「ユダヤのベツレヘムで起こった」とルカは時代と場所を明確に伝えます。イエスの誕生は、宗教的な真理を伝えるための作られた寓話ではなく、一つの歴史的な出来事です。

木彫「ご降誕の場面」クレオパ・レマ作

「ご降誕の場面」クレオパ・レマ作

イエスは、わたしたちの救い主として生まれました。わたしたちの生きる歴史の中の確実な出来事であるということを、感動を持って受け取りたいと思います。時には年中行事のように来たかという守り方をしていても、イエスがわたしたちの救い主として、この歴史の中に来て下さったという事実は変わりません。
  連日のように伝えられる世界中の出来事は、闇が支配し、救いがないように本当に暗い思いがします。これからどうなるのだろうかと胸が痛みます。そんな時に、神がこの世界の救いのために救い主を送って下さった。これはわたしたちにとって、まことに大きな慰めです。わたしたちのために神は救いの手を打って下さった。世界が暗ければ暗いほど、現代の私たちはこの事実の重さを、感動を持って迎えましょう。もう一度クリスマスの出来事にこめられた神の愛の姿に目を向けて、大きな喜びをもって主の招きに応えてまいりましょう。