招宴 2013年12月号 牧師巻頭言から

 

メルヘンではないクリスマスを迎えたい


牧師 司祭 バルナバ 前田(まえだ) 良彦(よしひこ)


 今年のクリスマス準備は十一月の最後の日曜日でした。クリスマス準備委員会も早めに始まりました。しかし、世の中はもっと早く、西荻や三鷹台の商店街でも聖歌やクリスマスソングが流れ、デコレーションがもうクリスマスです。 ルカ福音書やマタイ福音書の冒頭にはイエスの誕生物語が記されています。クリスマスカードのような情景が浮かんできます。あるいは日曜学校のページェント(聖劇)を思い浮かべる方もあるでしょう。

Holly Family
バングラデシュの木彫家クレオパ・レマ作「ご降誕の場面」

 クリスマスの物語はヨセフとマリアの苦しい葛藤から始まります。思いもかけないことが身に降り注いだのです。マリアに赤ちゃんが宿ったのです。この若い二人は天使のお告げによって自分たちの身に降りかかった出来事を必死に受け止めようとしたのです。ヨセフは結婚の解消を考えます。この若い二人にとって神様の御用のために思いもかけないことが起きたのです。若い二人の心の葛藤はいかばかりだったでしょう。本当に苦しい気持ちを語り合えない二人。マリアはエリザベトを訪ねます。距離にして百二十キロも離れた所まで。女性同士どれほど心が癒されたことでしょう。  マリアは肉親の手伝いもなく馬小屋で幼子イエスを出産せざるを得なかったのです。どのような保護もなく本当に心細いことでありました。そればかりか、幼子が殺されるかも知れないということから家族三人で逃避行しなければなりません。馴れない外国での生活をしなければなりませんでした。  クリスマスにこの若い男女に降りかかった出来事を神さまのご計画として考え、「私の身を用いて下さった」と思ったとしても心が折れそうな大変な出来事であったでしょう。メルヘンな出来事などではありませんでした。神様はこのようにして人間の只中に来てくださったのです。