顕現後第6主日

<特   祷>

永遠にいます全能の神よ、み子イエス・キリストは病気の人をいやし、健やかな命を回復されました。憐れみをもってこの世の悩みを顧み、いやしのみ力によって、人々と国々とを健全なものとしてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

<聖   書> シラ書15:17

マタイ5:21~24、27~30.33~37

<メッセージ> 

父と子と聖霊の御名によりて アーメン

朝日新聞2022年12月10日朝刊、鷲田清一先生「折々のことば」で、「大きくなるっていうことは」という絵本が紹介されていました。中川ひろたかさんという元保育士の絵本作家の本です。(童心社、絵:村上康成)

 おおきくなるっていうことは ようふくがちいさくなるってこと

 おおきくなるっていうことは あたらしい はが はえてくるってこと

 おおきくなるっていうことは みずに かおをながく つけられるってこと

 おおきくなるっていうことは あんまりなかないってこと

 おおきくなるっていうことは まえよりたかいところに のぼれるってこと

 おおきくなるっていうことは たかいところから とびおりられるってこと

 それもそうだけど とびおりても だいじょうぶかどうか 

かんがえられるってことも おおきくなるっていうこと

おおきくなるっていうことは なんでもかんでも たべたりしないってこと

おおきくなるっていうことは シャンプーだって いやがらないってこと

おおきくなるっていうことは おもしろいことが どんどん

みつけられるってこと ・・・・・・・・・

おおきくなるっていうことは じぶんより ちいさなひとが 

おおくなるってこと

おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくなれるってこと

おおきくなるっていうことは そういうこと

またひとつ おおきくなった おめでとう みんな

鷲田先生は、こう付け加えています。「幼い人にもきちんと“あなた”と話しかけられることだともつけ加えたいな。」

「おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくなれるってこと」

そして、鷲田先生の「幼い人にもきちんと“あなた”と話しかけられることだともつけ加えたいな。」私はとってもいい文章だなあと思いました。

 今日の福音に耳を傾けましょう。今日の福音では、主イエスは難しいことを言っておられるのではないのです。いろいろあるだろうけれど、兄弟に対して腹を立て「馬鹿」と言ったり、「愚か者」と言ったりするな。神さまは愛なるお方だから、少しでもやさしい気持ちで、人に接しなさいと言われているのです。私たちには、神さまから優しさの遺伝子が与えられています。その遺伝子を生かしなさいと言うのです。

 少しでも仲良く暮らしなさい、そうすれば世界はもっとよくなるというのです。最初に読みました。シラ書15:17「人間の前には、生と死がおかれている。どちらかよいと思う方が、人には与えられる。」私たちの目の前には、生と死が置かれていて、どちらも人間は選び取ることができるというのです。

 一方は「いのちの道」、もう一方は「自己中心の道」です。自己中心の道は、滅びの道です。私たちは、今毎日戦争の報道に触れています。これは自己中心の極みです。このままでは地球全体が自滅してしまうのではと心配です。

 トルコとシリヤで巨大な地震が起こりした。阪神淡路大震災、東日本大震災の時と同じように見るのもつらい光景が映し出されています。と同時に、命がけで被災者を救出しようとしている人々は、「いのちの道」「希望の道」を指し示しています。

 思いやりのあるやさしい一言が、生きづらさを感じている人に、「生きていてよかった」という、人生に対して希望を抱かせることがあります。

 映画監督の山田洋次さんは、お父さんが満州鉄道の職員だったので、旧満州で幼少期を過ごしていました。敗戦となり、裕福なお家だったそうですが、すべてを失い、何とか帰国し、山口県宇部の親戚のところに身を寄せます。

しかしお父さんに仕事が見つからず、中学生になった山田少年も行商をして家計を助けたそうです。ある時、ちくわを仕入れて、おでん屋さんに売りに行きます。薄汚い格好の少年が売る、それも品質の良くないちくわを買ってくれる人はなかなかいない。あるおでん屋さんに、「ちくわ買ってください」と入ります。中年のおばさんが、「あんたは中学生かい」、山田少年「はいそうです」と答えた。そのおばさんが、「全部買ってあげるよ。これからも残ったら、持っておいで、全部引き取ってあげるから。」

 帰り自転車をこぎながら、山田少年は涙がとまらなかったそうです。「生きていてよかった。」と思ったとのこと。山田監督はこのおばさんのやさしい心が、私の人生に入ってきて、。自分の映画の底流にはこのおばさんの心が流れているそうです。やさしい思いやりのこもった一言が、生きる力を与えることがあります。思いやりのあるやさしい心が集まったら、もっといい世界・社会になります。

 もう一度お聴きください。

「おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくなれるってこと」

そして、鷲田先生の「幼い人にもきちんと“あなた”と話しかけられることだともつけ加えたいな。」とてもよいことばだと思います。

 この世界が、もう少しやさしくなるように、もう少し平和で良い世界になるように、主イエスのことばを味わいつつ、私たちに与えられている思いやりとやさしさの遺伝子を生かして歩み出しましょう。

父と子と聖霊の御名によりて アーメン

<戦争の終結のため> <トルコ・シリヤ大地震犠牲者・被災者のため> 

 黙想しましょう。

<主の祈り>

救い主キリストが教えられたように祈りましょう。

天におられるわたしたちの父よ

み国が来ますように。

み名が聖とされますように

みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。

わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を

ゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救いください。

国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン

関連記事一覧

PAGE TOP