聖霊降臨後第19主日

<特   祷>

主よ、主の家族である教会を、絶えることのない恵みのうちにお守りください。どうか主の守りによってすべての災いを免れ、良い行いをもって熱心に主に仕え、み名の栄光を現すことができますように、主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン

<聖   書> イザヤ5:1-7

        マタイ21:33-43

        フィリピ4:8-9

<メッセージ> 15分待つ心―地球と私たちの関係

父と子と聖霊の御名によって アーメン

 マタイ福音書21:33以下では、主イエスは大祭司や長老たちに向かって、「ぶどう園と農夫」のたとえを話されました。このたとえの前半部分は、先ほど拝読したイザヤ書5:1以下預言者イザヤの民衆に対する主の歌とよく似ているといいますか、通じるものがあります。

 イザヤは、「わたしの愛する者は、肥沃な丘にぶどう畑を持っていた。」と語り始めます。このことばの中には、主なる神さまは、ちょうど農夫が丹精をこめて土地を耕し、美味しいぶどうを実らせるように、ぶどう畑にたとえられるイスラエルの民、聖書の民を、深いいつくしみをもって、おいしいぶどうが実ることを楽しみに、大事に育ててこられたということが、込められています。ところが、どうしたことか、すっぱいぶどうが実ってしまった。世界に、流血と不正義、憎しみとねたみと暴力の実が実ってしまった。これはどうしたことか、イザヤは民衆に、厳しく警告を発します。(今の世界にも通じるものがあります。)

 主イエスが、大祭司や長老たちに「ぶどう園のたとえ」をされた時、主イエスご自身このイザヤの警告、預言を意識しておられたのではないでしょうか。

 私は「ぶどう園のたとえ」を見てみましょう。ある家の主人がぶどう園を農夫たちに貸して旅に出た。収穫の時が近づいたので、しもべたちを送ったが、牢獄に捕らえたり、殺してしまった。またもっと多くの他のしもべを送ったが、前と同じ目に遭わせた。最後には、息子を送ったが、跡取りである息子を殺して、ぶどう畑を全部自分たちのものにしようとします。

 旧約聖書を読んでおりますと、神さまは数多くの預言者たちをイスラエルの民のために送られました。しかし、民は彼らのことばに耳を傾けることなく、捕らえ、石で打ち、殺しさえしました。最後の息子は、神の独り子、主イエスの受難と十字架の死を連想させます。

 私は、「ぶどう園のたとえ」を読みながら、神さまのお創りになった地球と私たちの関係が、心に浮かんできました。主人は神さま、ぶどう園は地球、農夫たちは私たち人間です。私たちは、神さまからこの地球を託されています。地球を、丹精をこめて耕し、美味しいぶどうが実るように、これが私たち人間の使命であります。しかし、半世紀以上も前、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」や、日本でも有吉佐和子さんの「複合汚染」と言った作品は、世界に、日本に衝撃を与えました。その他、自然環境に対して、人間がしてきた致命的な行いによって、地球の豊かさがどれほど失われ、今に至っているかを気づかせる本や報告が沢山あります。産業や経済を発展させるために、加速度的に化石燃料をエネルギーとして燃やし続けた結果、地球の温度は、過去に例を見ない速さで急上昇し、異常気象や砂漠化が深刻さを増していることを、私たちは今、思い知らされています。原子力発電や核兵器問題も心配です。土に還ることのない物質やプラスチックごみによる環境汚染も深刻です。

 

 先日、天文学者のマーティン・リースという方の「私たちが地球に住めなくなる前に」を読んでおりまして、興味深い実験が報告されていました。

「1960年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが行った古典的な実験がある。彼は子供たちにある選択をさせた。1個のシュークリームを今すぐもらうか、15分待って2個もらうかである。そして彼の結論によると、満足を遅らせることを選んだ子供たちの方が、成長してから大きな幸福と成功をつかんだという。これは今日の国家やリーダーが直面しているジレンマを説明するにふさわしい比喩だ。短期的な見返り、今すぐの満足が優先されると、未来世代の幸福が危うくされてしまうのである。」

未来の世代のことを考えると、目の前の満足、短期的な視野でなくて、長期的な視野で物事を考えようというのである。おいしいシュークリームを15分待って2個もらえる知恵と忍耐が今私たちには必要なのではないでしょうか。

 

 たとえの農夫たちは、目先の満足を求め、財産を自分たちで独り占めしようとしたために、殺され、ぶどう園はほかの人に貸し与えられてしまいました。

 地球上では、沢山の絶滅危惧種が存在し、多くの動植物が実際に絶滅してしまいました。人間も例外ではありません。

 フィリピ書4:8・9に次のようなことばがあります。「すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと、すべて愛すべきこと、すべて名誉なことを、また、徳や賞賛に値することがあれば、それを心に留めなさい。私から学んだこと、受けたこと、わたしについて聞いたこと、見たことを実行しなさい。そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます。」このパウロの勧めに従って、私たちが神さまの呼びかけに耳を澄ませて歩むならば、豊かな平和と喜びの実を結ぶことになります。

 急ぎ足ではなくゆっくりと、目先のことではなく、未来の子供たちのことや将来を見て考えるなどなど、私たちの生き方を見直してみましょう。

父と子と聖霊の御名によって アーメン

<ウクライナとロシアの人々と、世界の平和のための祈り>

正義と平和の神よ、

わたしたちは今日、ウクライナとロシアの人々のために祈ります。

またわたしたちは平和のために、そして武器が置かれますよう祈ります。

明日を恐れるすべての人々に、 あなたの慰めの霊が寄り添ってくださいますように。平和や戦争を支配する力を持つ人々が、知恵と見識と思いやりによって、み旨に適う決断へと導かれますように。

そして何よりも、危険にさらされ、恐怖の中にいるあなたの大切な子どもたちを、あなたが抱き守ってくださいますように。

平和の君、主イエス・キリストによってお願いいたします。 アーメン。

<黙想しましょう。>

大阪教区成立100周年の年、わたしたちが聖霊の働きに心を開き、神の御力が大阪教区に豊かに注がれますように。教区婦人会100周年を憶えて

この社会にあって、居場所がなく、生きづらさを感じている人々のため

新型コロナウイルス感染症の収束のため

戦争に苦しむ人々のため 特にスーダン、ミャンマーの人々 ほか

世界各地の災害(地震、洪水、山火事、台風)犠牲者・被災者を憶えて

<主の祈り>

主イエスが教えられたように祈りましょう。

天におられるわたしたちの父よ、

み名が聖とされますように。

み国が来ますように。

みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。

わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救いください。

国と力と栄光は、永遠にあなたのものです アーメン

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