2022年3月20日(日) 大斎節第3主日
<特祷>
全能の神よ、どうかあなたを呼び求める僕(しもべ)らの願いをみ心に留め、力あるみ手を差し伸べてすべての敵を防いでください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
<聖書>
ルカによる福音書 13:6〜9節
<メッセージ> いちじくの木は私
父と子と聖霊の聖名によって アーメン
マタイ福音書24:32には、「いちじくの木から教えを学びなさい。枝がやわらかくなり、葉が伸びると、夏の近づいたことがわかる。」とあります。
日本でもよく農家に柿木が庭に植えられています。田植えの時期とか、柿木は教えてくれるそうです。いちじくも季節の到来(乾季)を教えてくれるのです。
いちじくは、聖書の大地の7つの産物(大麦、小麦、いちじく、ぶどう、ざくろ、オリーブオイル、はち蜜)の一つです。聖書では、いちじくの木とぶどうの木のある所に住むことは、幸福、平和、豊かさの象徴でした。
いちじくは、6000年前頃アラビア半島が原産で栽培されていました。おそらくシルクロードを通って、日本長崎に届き、広がっていったのでしょう。
主イエスの弟子の一人ナタナエルは、いちじくの木の下にいるのを主イエスが見ておられて、そのことを主から言われたことがきっかけで弟子になります。いちじくの木の下で、信仰深いユダヤ人はお祈りしたのです。そのお祈りの姿がとてもよかったのでしょう。主の目にとまったのでしょう。
また、これは想像ですが、ひょっとすると主イエスは、いちじくがお好きだったのではないか、好物だったのではないでしょうか。実は、私はいちじくが大好きです。おいしいですよね。
さて今日の福音を見つめてみましょう。主イエスが語られた、ルカ福音書だけに登場する「実のならないいちじくの木」のたとえです。ある人がぶどう園にいちじくの木を植えました。実ったかなと探しに行きましたが、実が見つかりません。怒って園丁に言います。「もう3年もの間、このいちじくの実を探しに来ているのに、見つけたためしがない。切り倒せ。土地がもったいない。」
園丁は答えます。「ご主人様、今年もこのままにしておいてください。木の周りを掘って、肥やしをやってみます。そうすれば来年は実がなるかもしれません。もしそれでもだめだったら、切り倒してください。」たとえの解釈はありません。
ある人は神様、園丁は主イエス、いちじくの木は人間と考えてみましょう。主イエスが活動を開始されておよそ2000年ですから、毎年毎年、主イエスは、「ご主人様、今年もこのままにしておいてください。木の周りを掘って、肥やしをやってみます。そうすれば来年は実がなるかもしれません。」神様に言い続けてくださっているのではないでしょうか。
私はもう40年以上、大阪教区で働かせて頂いています。その間、大学のチャプレンを経験し、今も理事長、学院長など教育の現場に近いところにおります。学生や生徒の成長に関して、いつ芽が出るか、実が実るか、わからないものだという経験をします。この子は大丈夫かなと思った学生が、数年後海外青協力隊員となってアジア各地で働いているとか、スタイリストになているとか、母親の子育て支援のリーダーをしている、中には、牧師さんになって今活躍しているとか、うれしい報告を聞くことがあります。
私は神学校を卒業して大阪聖愛教会で伝道師・執事として勉強させて頂きました。そのころ中学生で聖愛教会に通っていた少年がいた。先日、その方が50代になって、教会のことを思い出し、訪ねて来られたと聖愛の牧師(古澤司祭)さんから聞きました。携帯番号を書き置いていかれたということで、かけてみました。父上の死とかもあり、中学生の頃、いろいろなお話を磯さんはしてくれたことを思い出したとのことで、5月頃落ち着いたらお会いする約束を致しました。うれしかったです。教育だけでなく、信仰もいつ芽を出すか、いつ実るかは本当にわかりません。
主イエスは、大きな愛と忍耐をもって、「ご主人様、今年もこのままにしておいてください。木の周りを掘って、肥やしをやってみます。そうすれば来年は実がなるかもしれません。」私たちのために祈ってくださっています。
大斎節、神さまの大きな愛と忍耐をしっかりと受け取りましょう。
そして、肥やしは必要です。肥しは、主イエスのみ言葉です。
1日1章あるいは、祈祷書や聖公会手帳にある朝の礼拝、夕の礼拝の聖書日課を読むなど、聖書と親しくされることをお勧めします。
最後に詩編80編16・17節をお祈りします。
万軍の神よ、立ち帰ってください。
天から目を注いでご覧ください。
このぶどうの木(いちじくの木)を顧みてください。
あなたが右の御手で植えられた株を
御自分のために強くされた子を。
父と子と聖霊の御名によって アーメン
<主の祈り>
救い主キリストが教えられたように祈りましょう。
天におられるわたしたちの父よ
み名が聖とされますように
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を
ゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン