2022年4月3日（日） 大斎節第5主日
＜特祷＞
全能の神よ、み子イエス・キリストは大祭司として来られ、その血をもって至聖所に入り、ただ一たび永遠の贖いを全うされました。どうかご自身を神に献げられたキリストの血によって、わたしたちの良心を死に至る行いから清め、あなたに仕えさせてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
＜聖書＞
フィリピの信徒への手紙 ３：８−１４
＜メッセージ＞ 起き上がり小法師（こぼし）
父と子と聖霊の聖名によって アーメン
主は今生きておられる
主は今生きておられる 我がうちにおられる
すべては 主のみ手にあり
明日も生きよう 主がおられる
先日、素敵な絵本に出会いました。「起き上がり小法師（こぼし）」
交通事故に遭い、高次脳機能障害となった女性が、「生きているだけで十分」との母の言葉を支えに起き上がり、独特の優しさと癒しの響きのこもった読み聞かせの働きに新たな道を見出していくと言う道のりの中で生まれた絵本です。
ある日 自転車をこいでたら ドンッ！ と音がした
世界が暗くなった 何日も 何日も 寝ていた
目が覚めたら 父さん 母さん
みんなが泣いていた
話そうとしたら 言葉にならなかった
父さんも 母さんも 「わからない」と 首を横にふっていた
手を 動かそうとしたら 動かない
私の手は どうなったの？
毎日 母さんが 私に体を さすってくれた
ちゃんと 起き上がれますように ちゃんと 手が動きますように
ちゃんと 立つことができますように
優しい 温かな手のぬくもり
寝て 覚めて いつの間にか 少しだけ母さんに 言いたいことが 伝わった
嬉しい
「神様 車いすの生活でも いいですから 起き上がれるように
してください」 心の中でお祈りした
先生 看護師さん ワーカーさん リハビリの療法士さん
たくさんの人が 毎日来てくれた
私は心の中で「誰？」と思う
ホントは 昨日も会っているのに 覚えていない 覚えられない
名札を見せてくれると ホッとする でも また忘れてしまう
動かなかった 手や足が すこし 動かせるようになった
母さんが言った 「生きているだけで 十分」 「感謝だね」
色んなことができたのに、出来ない つらい 苦しい わからない怒りが、
どうしようもなくなる でも 母さんのコトバ
「生きているだけで、十分」が 支えになる
私は出来ることを探し 始めた
あっ これ できる！ おっ これ やれた！
私のベットの 起き上がり小法師が見えた
「なんど 転んでも 必ず 起き上がる」 起き上がり小法師 私もなろう
起き上がり小法師が にっこり笑っている
私も にっこり 笑えるようになろう！
たくさんの人に ありがとう 新しい私に こんにちは
「何度転んでも、また起き上がればいい・・・」フクシマの郷土玩具、起き上がり小法師に自身を重ね合わせた一人の女性の再生の詩です。
パウロの手紙に耳を傾けましょう。パウロはキリスト者を迫害する人でした。突然目が見えなくなる経験を通して、主イエス・キリストと出会います。主イエスを信じる人になり、彼は視力を回復し、主イエスを宣べ伝える人・伝道者になります。
それは今まで支えていたものを失う経験でしたが、主イエスを知ることのすばらしさに、失ったものはどうでもいいことになりました。彼は主イエスを尋ね求める求道者になります。
「わたしは、既にそれを得たというわけではなく、既に完全な者となっているわけでもありません。何とかして捕らえようと努めているのです。」（フィリピ３：１２）
しかし、伝道者パウロの歩みは、平坦ではありませんでした。艱難、苦しみ、迫害、飢え、裸、危険、剣、死の危険、投獄・・・・・（ローマ８：３５）
こうした困難の中、倒れても倒れても、主の愛を受けて、パウロは起き上がりました。まさにパウロにとって、先ほどの女性にとって母さんはじめまわりの人々の愛が「起き上がり小法師」であたったように、主イエスの愛が「起き上がり小法師」でした。パウロにとって、主イエスは、「主は今生きておられる 我がうちにおられる すべては 主のみ手にあり 明日も生きよう 主がおられる」明日を生きる力だったのです。
そして、主イエスは私たちの内に生き、働いて下さいます。主イエスは、私たちにとって「起き上がり小法師」のような存在なのです。
父と子と聖霊の聖名によって アーメン
＜主の祈り＞
救い主キリストが教えられたように祈りましょう。
天におられるわたしたちの父よ
み名が聖とされますように
み国が来ますように
みこころが天に行われるとおり地にも行われますように
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を
ゆるします
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン
