<特祷>
人類を深く愛し、救い主、み子イエス・キリストをこの世に遣わされた全能の神よ、み子はわたしたちと同じ肉体を取り、己を低くして死に至るまで、十字架の死に至るまであなたに従われました。どうかわたしたちに恵みを与えて、み子の苦しみの模範に従わせ、またそのよみがえりにあずからせてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
<聖書>
ルカによる福音書 23:1-49
<メッセージ> 死から命へ~今も十字架を背負う主イエス~
父と子と聖霊の御名によって アーメン
今日もご一緒に賛美の歌を歌いましょう。
主は今生きておられる
主はいま 生きておられる
我がうちにおられる
すべては 主のみ手にあり
あすも生きよう 主がおられる
聖公会の暦からしますと、今日から「聖週」に入りました。「聖週」のテーマは、「死から命へ」です。私たちが「死から命へ」導かれるために、神様は信じられないような方法を用意されました。主イエスの十字架の出来事です。
まず、私たちは「死」をそれも私たちの愛する主イエスの「十字架の死」を見つめなければなりません。教会の暦で一番暗い闇の時です。私たちが「命」へ導かれるためにこの闇が必要なのです。「わたしたちが聞いたことを、誰が信じえようか。」(詩編53:1)
主イエスは裁きの場にいます。ピラトは、主イエスが無実であることを3回人々に呼びかけます。「わたしはこの男に何の罪も見いだせない。」(ルカ23:4)「この男は死刑に当たるようなことは何もしていない。」(ルカ23:15)「いったい、どんな悪事を働いたというのか。この男には死刑に当たる犯罪は何も見つからなかった。」(ルカ23:22)主イエスと共に十字架にかけられた犯罪人も証言します。「この方は何も悪いことをしていない。」(ルカ23:41)
しかし群衆は叫びます。「十字架につけろ、十字架につけろ」(ルカ23:21)
復活前主日の福音書朗読で、皆で役割分担をして朗読するという習慣があります。主イエスの役、ピラトの役、群衆の役、犯罪人Aの役、犯罪人Bの役、百人隊長の役、福音記者(ナレーション)の役と言う風に分担して朗読するのです。群衆「十字架につけろ」のところが、なぜか皆さん上手なのです。気持ちがよく入るのです。私たちには、どこや闇への傾きがあるのかしらと、皆で苦笑いしたことがあります。
闇の世界の深さは、今の世界の状況に通じるものがあります。人間の心の奥に潜んでいる「悪魔的な力」を感じさせられます。「群衆の暴力」「無知の闇」「付和雷同」「最後には自分のことだけを考える愚かさ」(ピラトの結論 ルカ23:25)・・・・・こうした人間の闇が、主イエスを十字架の道へと歩ませることになります。
この人間の闇に対して、主イエスはどう対応されるでしょうか。主イエスの酷いお姿に嘆き悲しむ女性たちに、主イエスは語り掛けます。「わたしのために泣くな、自分と自分の子供たちのために泣け」(ルカ23:28)
2人の犯罪人と共に十字架につけられた時、「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているか知らないのです。」(ルカ23:34)
この時期になると、いつも思い出すゴスペルの歌詞があります。
「紫の衣 いばらの冠 血を流すほどにムチ打たれ なぜに 主よ あなたは 十字架にかかるほど このわたしを 愛されたのでしょう。」
主イエスはこの暗闇を引き受け、私たちの無知を、私たちの罪を赦すために、そして私たちへの愛を示すために、十字架を背負われるのです。
そして、犯罪人の一人が、「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください。」(ルカ23:42)ということばに対しては、「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる。」深い赦しと慰めと愛を告げ知らせてくださいます。
最初に歌った賛美を思い出してください。
「主はいま 生きておられる
我がうちにおられる
すべては 主のみ手にあり
あすも生きよう 主がおられる」
十字架の主イエスは、今も生きて、わが内におられます。十字架の主イエスは暗黒の中に、暗闇を背負って共におられるのです。神学者の青野太潮宣先生は、著書に「十字架のままなる主イエス」という題名をお付けなりました。主イエスは十字架にかかり、そして復活された。しかし十字架から降りられたわけではありません。今も様々な病気や苦しみを背負うあなたと共に、主イエスは十字架を背負っておられます。
ウクライナの人々の苦しみと共に、主イエスは十字架上におられる。戦争とは知らずに連れてこられ、恐れに囚われているロシアの若い兵隊とも共におられるのです。私たちを「死から命へ」と導くために。
父と子と聖霊の御名によって アーメン
<ウクライナのための祈り>
正義と平和の神よ、
わたしたちは今日、ウクライナの人々のために祈ります。
またわたしたちは平和のために、そして武器が置かれますよう祈ります。
明日を恐れるすべての人々に、 あなたの慰めの霊が寄り添ってくださいますように。
平和や戦争を支配する力を持つ人々が、知恵と見識と思いやりによって、 み旨に適う決断へと導かれますように。
そして何よりも、危険にさらされ、恐怖の中にいるあなたの大切な子どもたちを、あなたが抱き守ってくださいますように。
平和の君、主イエス・キリストによってお願いいたします。 アーメン。
<主の祈り>
救い主キリストが教えられたように祈りましょう。
天におられるわたしたちの父よ
み名が聖とされますように
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人を
ゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです。アーメン