<特 祷>
神よ、あなたは選ばれた証人たちに、み姿が変わり、み衣が白く輝く尊い独り子を、山の上でお示しになりました。どうかわたしたちに恵みを与え、揺れ動くこの世から救い、信仰によって、栄光の王の麗しいみ姿を仰ぎ見ることができるようにしてください。父と聖霊とともに世々に栄光ある主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン
<聖 書> ルカ9:28~36
<賛 美>
わたしたちが くらやみに とどまることが ないように キリストは
ひかりとして 世にこられた
<メッセージ> 主イエスの変容――希望のしるし
父と子と聖霊の御名によって アーメン
聖歌476番の歌詞(1節)をお聴きください。
暗闇 行くときには 主イエスが示された
輝く星をもとめ 光に顔向けよう
光は闇を照らし 昼は夜をつつむ
とりまく影をぬぐいて 光を仰ぎ見よう
皆さまは何か、夢をお持ちですか。わたしたちは夢をもつからこそ、様々な苦労や困難を乗り越えながら、前向きに歩む力が出てきます。しかし、こんな暗い時代に、夢なんか持てないという方もあるでしょう。
ところで、キリストに従う私たちは、どうでしょうか。それは、神の国をこの地上に実現されるという夢です。神さまが私たちに託して下さった夢であり、希望であり。神さまがいつの日か必ず実現して下さるという大きなヴィジョンです。(教会問答34.問 キリスト者の希望は何ですか。祈祷書266頁参照)
さて、今日の福音は、主イエスの変容の出来事を伝えています。主イエスは弟子たちに、ご自分がエルサレムで、人々の手にかかり、多くの苦しみを背負い、十字架の道を歩み、殺され、そして復活するということを、はっきりと話されました。師が殺されるということは、弟子たちに大きな衝撃を与えたでしょう。どう受け止め、考えたらいいか、理解できずに当惑したことでしょう。
不安とおそれが彼らの心に重くのしかかったことでしょう。
その後8日ほどたって、主イエスは3人の弟子たちを連れて、山に登り、祈られました。その時、主イエスの姿が光輝き、モーセとエリヤが現れ、エルサレムで起ころうとしていることについて語り合うのを、3人の弟子たちは見ました。
ペトロは何とも言えない幸福感に満たされ、いつまでもそのような状態が続いてほしいと記念の仮小屋を建てようと提案します。あっというまに雲が現れて、モーセ・エリヤ、主イエスが雲に包まれていきます。そして、「これはわたしの愛する子。選ばれた者。これに聞け。」という声と共に、モーセとエリヤは消えてしまいます。主イエスの十字架の道行きを聞き、重たい心になっている3人の弟子に、神さまは主イエスが受難と十字架の死を経て、復活の栄光をお受けになることを、垣間見させてくださったのです。
そして、弟子たちの歩み、私たちの歩みも平坦でなく、辛いことの多い歩みですが、それらが栄光へと変えられていくことを、垣間見させてくださったのです。
闇はいつの日か、光へと変容していくのです。弟子たちや私たちが暗闇行くときに意気阻喪してしまわないように、光を垣間見させてくださったのです。
8月6日は主イエス変容の日ですが、もう一つ重要な記念日です。それは「広島原爆の日」です。ここ数年、この記念日に私がいつも思い出す演説があります。それは2017年12月オスロで行われた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和授賞式での被爆者サーロー節子さんのメッセージです。
「米国が最初の原爆を私が住んでいた都市、広島に投下した時、私はまだ十三歳でした。私は今もあの朝を鮮明に覚えています。八時十五分、窓からの青みを帯びた白い閃光(せんこう)に目がくらみました。体が宙に浮かぶ感覚を覚えています。
静かな闇の中で意識を取り戻すと、倒壊した建物の中で身動きできないことに気付きました。級友たちの弱々しい叫び声が聞こえてきました。「お母さん、助けて。神さま、助けて」そして突然、私の左肩に手が触れるのを感じました。「諦めるな。頑張れ。助けてやる。あの隙間から光が差すのが見えるか。あそこまでできるだけ速くはっていくんだ」。誰かがこう言うのが聞こえました。はい出ると、倒壊した建物には火が付いていました。あの建物にいた級友のほとんどは生きたまま焼かれ、死にました。」
節子さんは核兵器は、抑止力となる必要悪ではなく、世界を破壊する絶対悪として、核兵器廃絶と言う光に向かっての旅を始められたのです。
「私は十三歳の時、くすぶるがれきの中に閉じ込められても、頑張り続けました。光に向かって進み続けました。そして生き残りました。いま私たちにとって、核禁止条約が光です。この会場にいる皆さんに、世界中で聞いている皆さんに、広島の倒壊した建物の中で耳にした呼び掛けの言葉を繰り返します。“諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かってはっていくんだ” 今夜、燃え立つたいまつを持ってオスロの通りを行進し、核の恐怖という暗い夜から抜け出しましょう。どんな障害に直面しようとも、私たちは進み続け、頑張り、他の人たちとこの光を分かち合い続けます。この光は、かけがえのない世界を存続させるために私たちが傾ける情熱であり、誓いなのです。」
残念ながら世界中で、分裂と破壊という闇が深くなっています。私たちは、光を信じて歩みましょう。キリスト教信仰の中心には、聖餐式があります。そこで、私たちは裂かれたパン(主イエス・キリストの体)とワイン(主イエス・キリストが流された血)を頂きます。聖餐式の中心は、主イエス・キリストの裂かれたお姿です。裂かれた状態は、ふつうは否定的な意味を持ちます。先ほども申しましたように、世界中で裂かれた状態を見ることができます。日本の中にも裂かれた状態があります。他者を抑圧すること、他者への暴力がもたらす状況が、もっとも深刻な裂かれた状態です。主イエスは裂かれましたが、そのことでもって、破壊的な裂かれた状態に打ち勝ち、癒しと和解をもたらされるのです。
神さまは裂かれた主イエス・キリストに栄光をお与えになり、私たちを光へと導かれるのです。
「諦めるな。頑張れ。助けてやる。あの隙間から光が差すのが見えるか。あそこまでできるだけ速くはっていくんだ」。
サーロー節子(夫君は宣教師です。)さんの肩を叩き、光へと導いているのは主イエスです。
私たちの人生にも、多くの困難、逆境、試練、闇が待ち受けているでしょう。それらが、わたしたちを落胆させ、弱らせることもあるでしょう。しかし、神さまは私たちを闇の中に閉じ込めておくことはされません。裂かれた主イエスのお姿から、光が輝きでるのです。主イエス変容の出来事は、私たちに「主イエスの光」こそ私たちの希望であることを、教えてくれているのではないでしょうか。
もう一度、聖歌476番の歌詞(1節)をお聴きください。
暗闇 行くときには 主イエスが示された
輝く星をもとめ 光に顔向けよう
光は闇を照らし 昼は夜をつつむ
とりまく影をぬぐいて 光を仰ぎ見よう
父と子と聖霊の御名によって アーメン
<ウクライナとロシアの人々、世界の平和のための祈り>
正義と平和の神よ、
わたしたちは今日、ウクライナの人々のために祈ります。
またわたしたちは世界の平和のために、そして武器が置かれますよう祈ります。
明日を恐れるすべての人々に、 あなたの慰めの霊が寄り添ってくださいますように。平和や戦争を支配する力を持つ人々が、知恵と見識と思いやりによって、 み旨に適う決断へと導かれますように。
そして何よりも、危険にさらされ、恐怖の中にいるあなたの大切な子どもたちを、あなたが抱き守ってくださいますように。
平和の君、主イエス・キリストによってお願いいたします。 アーメン。
<黙想しましょう。>
大阪教区成立100周年の年、神さまの御力が大阪教区に豊かに注がれますように。教区婦人会100周年を憶えて
この社会にあって、居場所がなく、生きづらさを感じている人々のため
新型コロナウイルス感染症の収束のため
戦争・紛争・対立に苦しむ人々のため 特にスーダン、ミャンマーの人々
世界各地の災害(地震、洪水、山火事)犠牲者・被災者を憶えて。
<主の祈り>
主イエスが教えられたように祈りましょう。
天におられるわたしたちの父よ、
み名が聖とされますように。
み国が来ますように。
みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。
わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。
わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。
わたしたちを誘惑におちいらせず、
悪からお救いください。
国と力と栄光は、永遠にあなたのものです アーメン
☆来主日8月13日は、ホームページへのメッセージの録画と掲載はお休み致します。ご了承ください。また8月20日にお会いしましょう。