ニュースレター「いのちの海と空と大地」24号を発行しました

ニュースレター「いのちの海と空と大地」24号を発行しました。
どうぞご覧ください。このニュースレターは聖公会の各教会にも配布されています。

24号のコンテンツ

「原発」と「気候変動」

岸田首相は、「運転中の原発はCO2 を排出しない」「エネルギーコストの低減」を理由として、2022年8月、今後、現在停止中の原発を含め、原子力規制委員会の承認が得られた原発の再稼働や新増設を表明した。(中略)

一方、こうした「原発回帰」ともとれる原子力政策のシフトは「気候変動」の解決策にはならない。原発はライフサイクル(ウラン採掘から放射性廃棄物の処分まで)のCO2 排出量は1kWh当たり68〜180.1gCO2/kWh で、天然ガス・コンバインドサイクル発電(360gCO2/kWh)の2分の1程度は発生する。そして原発は停止中も燃料プール中の核燃料の冷却に多量の電気を消費し、これらの電力は殆ど火力発電によって賄われている。原発は無くならない限り、停止中でも安全を維持するための膨大な電力を消費するのである。岸田政権が主張する原発再稼働や原発新設などは「気候変動」の解決策にはならないのである。

本文より一部抜粋

「核のごみ」処分場選定のための「文献調査」

2020年12月から北海道後志管内寿都町と神恵内村で始まった「核のごみ」最終処分場選定のための「文献調査」はこの12月、予定の2年間を終える。(中略)

ドイツ・ミュンヘン工科大ミュランダ・シュラーズ教授は、ドイツの放射性廃棄物の最終処分場候補地とされたゴアレーベンが地元住⺠の反対運動によって失敗に終わった経験を教訓として、選定プロセスを見直し、透明性の高い方法に変更したと話した。(中略)

日本も上記のように透明性、公正性を確保しつつ、国⺠全体の問題として粘り強い選定作業を続けるべきである。財政的に苦しい自治体を交付⾦で助けるのと引き換えに最終処分場誘致の調査を受け⼊れてもらうというやり方は、初めから、日本全体の問題を人口の少ない地方自治体に押し付けるようなプロセスで、国の法的責任も曖昧であり、それ故に住⺠には分断が生じやすい。国は核燃料サイクル政策が破綻していることを認めた上で、原発の廃止と残った放射性廃棄物の最終処分場選定プロセスを進めるべきである。

本文より一部抜粋