ニュースレター「いのちの海と空と大地」31号発行/『なぜ日本は原発を止められないのか?』/佐賀県玄海町が「文献調査」受け入れ/エネルギー基本計画の見直し始まる
ニュースレター「いのちの海と空と大地」31号を発行しました。
どうぞご覧ください。このニュースレターは聖公会の各教会にも配布されています。
31号のコンテンツ
『なぜ日本は原発を止められないのか?』
ジャーナリストの⻘⽊美希さんが、昨年11月、上記のタイトルの本を出版された。すでにお読みになった方が沢山おられると思われる。筆者も早速購入し、読ませていただいた。そして並行して、原爆や原発事故などによる深刻な被害を経験してきた日本が「なぜこれ程に原発の稼働に固執するのだろう」と考え続けてきた。(中略)
⻘⽊美希さんは2021年5月に福島原発事故当時の官房⻑官だった枝野幸男氏に「なぜ原発を続けたい政治家がいると思いますか」と質問したところ、「おそらく、どうしたら辞められるかを真剣に考えていないから。それに尽きる。やめようとすると『使用済み核燃料をどうする。⺠間企業の資産だから法的に何とかしてあげないと電力会社が倒産してしまう』などと様々な難題が頭に浮かぶ。それで思考停止しているのでしょう。…やめ方がわからないから続けているだけです。」と応答している。
本文より一部抜粋
佐賀県玄海町が「文献調査」受け入れ
佐賀県玄海町は現在人口約5,500人の町であるが、飲食業組合、旅館組合など地元の3団体が町議会に「核のゴミ」最終処分地選定のための「文献調査」の応募を要請した。それを受けて経産省は玄海町にその要請を受け入れるよう申し入れを行なった。そして5月10日、玄海町⻑の脇山伸太郎氏はこの要請を受け入れることを表明した。町と町議会はこれまで十数年にわたり、最終処分場の議論を重ねてきた経緯がある。玄海町は玄海原発の立地⾃治体でもあり関連交付金を受けていることから、現状、町財政は決して悪い状況ではないと説明している(総務課)。また町議会には、「原発立地⾃治体として受け入れが責務ではないか」という意見があったという。その背景として将来推計人口の減少率は県内屈指で、2050年には3332人(30年前から4割減)との試算があり、危機感を持っている。原発立地⾃治体の応募は初めてであり、今後に影響をもたらす可能性がある。
本文より一部抜粋
エネルギー基本計画の見直し始まる
経済産業省は、5月15日、3年毎に有識者会議によって行われる「エネルギー基本計画」の見直し作業を開始した。待ったなしの気候変動対策、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー供給の不安定、日本の半導体製造やデータセンターの立地拡大による電力需要の急増、再生可能エネルギー開発の遅れなどにより、岸田政権は「原発回帰」を打ち出している。(中略)
原発に関してはこれまで「可能な限り依存度を低減する」としつつ、安全確保を前提に「必要な規模を持続的に活用する」としていた。電力業界では原発の新増設要請が強く、それに応じた基本計画の記載がどの様になるかが注目される。
本文より一部抜粋