ニュースレター「いのちの海と空と大地」38号発行/第7次エネルギー基本計画 閣議決定がこのままでいくと?/使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設
ニュースレター「いのちの海と空と大地」38号を発行しました。
どうぞご覧ください。このニュースレターは聖公会の各教会にも配布されています。
38号 コンテンツ
- 第7次エネルギー基本計画 閣議決定がこのままでいくと?
- 使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設
38号の「関連用語あれこれ」
北海道電力泊原子力発電所
1~3号機全てが停止中。
主な停止理由:
- 定期検査
1~3号機全ての安全を確認する定期検査のためです。 - 新規制基準に対する適合検査
東京電力福島第一原子力発電所の事故後、原子力規制委員会が策定した「新規制基準」に則って適合性審査が行われています。 - 津波対策の遅れ
防潮堤の建設など津波対策への遅れが指摘されており、現在も審査中です。 - 訴訟による差し止め
防潮堤が不十分であるなどの理由で、2022年に札幌地裁が住民の差し止め請求を一部認めました。
エネルギー基本計画
2002年に公布・施行されたエネルギー政策基本法に基づいて、経済産業省 資源エネルギー庁が策定します。第1次基本計画は2003年に閣議決定されました。
基本計画は、専門家からなる審議会の議論を経て3~4年ごとに見直され、最終的には閣議決定され、国のエネルギー方針として定められます。しかし、多方面から国民生活に密接に関わるエネルギー政策が閣議決定で良いのかとの疑問が示されています。また、より多様な意見が反映されるための民主的で開かれたプロセスを経るよう要請されています。
第7次エネルギー基本計画
第7次基本計画は2025年2月18日に閣議決定されました。2021年の第6次基本計画では、「原発依存度を可能な限り低減する」としていたものが、「原子力を最大限活用する」に改められ、「必要な規模を持続的に活用していく」としています。国の原子力政策が原発推進に大きく方向転換したと言えるでしょう。
ニュースレター38号に「第7次エネルギー基本計画のポイント」とする表が掲載されています。これはエネルギー需要の見通しを表にしたものです。38号では、紙面の都合上小さく見づらいので拡大したものを転載します。発電電力量に対する原子力発電の割合が2013年には0.9%、2022年には5.6%だったものが、2040年には20%程度と予想されています。因みに2024年は8.8%でした。
第7次エネルギー基本計画のポイント
*最終エネルギー消費量は、産業、交通、家庭などで消費されるエネルギーの総量を指します。
中間貯蔵施設
使用済み核燃料を再処理工場で再処理するまでの間、一時的に保管する施設でそのほとんどが原発敷地内の貯蔵プールなどに保管されています。現在、原発敷地内での保管容量が約80%に達し限界に来ています。
使用済み核燃料の貯蔵方法に、「湿式貯蔵方法」と「乾式貯蔵方法」の2種類があります。
「湿式貯蔵方法」と「乾式貯蔵方法」
「湿式貯蔵」とは、燃料プールで水を循環させながら使用済燃料を冷却して保管する方法で、日本の全ての原子力発電所で採用されています。
「乾式貯蔵」とは、「湿式貯蔵」によって冷やされた使用済燃料を「キャスク」と呼ばれる金属製容器に収納し、空気の自然対流によって冷却する方法です。湿式貯蔵にくらべ設置場所が柔軟な上、維持管理だけでなく輸送も容易という利点があげられます。
現在、東海第二原発(日本原子力発電株式会社)と伊方原発(四国電力)で採用されています。




