ニュースレター「いのちの海と空と大地」28号発行/原発事故がもたらす心の傷(PTSD)精神科医 蟻塚亮二さんの新聞投稿から/ALPS処理水の海洋放出は理解されていない

ニュースレター「いのちの海と空と大地」28号を発行しました。
どうぞご覧ください。このニュースレターは聖公会の各教会にも配布されています。

28号のコンテンツ

原発事故がもたらす心の傷(PTSD)精神科医 蟻塚亮二さんの新聞投稿から

精神科医の蟻塚亮二さん(76歳)は、東京電力福島第一原発の爆発事故の後2013年から、原発の北40kmの相馬市に開設した「メンタルクリニックなごみ」の院長を務めている。

東日本大震災と原発事故から12年が過ぎた今、原発周辺には今も住民が戻れない帰還困難区域がある。津波災害からの復興を目指す岩手や宮城ではよく「ゼロからのスタート」と言われるが、原発事故があった福島では、「ゼロにも戻れない」「ゼロどころかマイナスのままだ」という声をよく聞く。

避難先で暮らす人が今も数多く、以前は10年先、20年先の将来の姿を思い描くことでそれに向かって日々の生活に夢や希望を見出し頑張ることができた。しかし、住み慣れた故郷に戻ることも出来ず、避難生活を続けざるを得ない人の苦しみは計り知れない。「何のために生きているのか分からない」と嘆く高齢者もいるという。

本文より一部抜粋

ALPS処理水の海洋放出は理解されていない

東電や政府は、国際原子力機関(IAEA)に、福島第一原発の事故後貯り続けている「ALPS処理水」の海洋放出の是非の評価を依頼し、「国際的な安全基準に合致する」、計画通りの段階的な放出であれば人や環境に与える影響は「無視できる程僅かだ」という包括報告書や、海洋放出設備について原子力規制委員会の使用前検査に合格したことなどを背景に、「放出前の安全性が確認された」との説明を繰り返している。

しかし、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)の野崎会長は「基本的に処理水の放出には反対の立場だ」としている。

「廃炉と福島の復興を進める為には、処理水の放出は避けて通れない課題だ」として理解を求める政府。(中略)

こうした状況において政府は「理解と了解は違う。了解は得られなくても説明への理解を得た上で流せば良い」といったこじつけ論法で海洋放出するのかもしれない(法政大学教授 上西充子氏 2023年7月28日 北海道新聞)。

本文より一部抜粋