ぼやき「恐ろしい原発回帰の動き〜昭和おじさんもびっくりの“レトロ”原発を再稼働した宮城県から〜」

浅原和裕さんは原発問題プロジェクトのメンバーで、福島聖ステパノ教会の信徒です。福島市内に住んでいて、仙台市への通勤路にある放射線線量計(モニタリングポスト)を目にしながら日常を送っています。

今回は、東京電力福島第一原発の遅々としたデブリの取り出し、原発マネーの構造、女川原発2号機の再稼働などに、疑問を呈しながらぼやいています。

原発問題プロジェクト浅原委員のぼやき 2024年11月1日記

とりわけ今年の夏は暑かったです。小生の所属する教会は築130年の純木造、空調設備全くなしで扇風機のみ、この季節はチャンセル内が猛烈な暑さで教役者、サーバー泣かせなのですが、老朽化した建物であっても、礼拝が終わったときの心の清涼感が格別なのです。皆様の教会ではいかがでしたか。

東京電力福島第一原発(1F)の2号機では計画から遅れに遅れ、やっとデブリの取り出しが始まり、一度目は作業部品の装着の手順ミス、二度目はカメラの未作動を経て、慎重には慎重を重ねながら3gも取り出せない状況です(※1)。連日の報道の通りです。そもそも事故がなければこんな危険を伴う作業は必要ないはずですから。10月28日に体制を整えてやっとチャレンジが始まりました。どうなることやら全く。全部で880トン入っているのに今回は3gですよ…いつになったら全部取り出せるの?50年後でも疑問。

「大地震と大津波がなかったら安全だったのに!」ではありませんよ。潜在的にこの危険を持っていたのです。だから他の原発地区ではこの危険が今でもあるのです。このことを改めて肝に銘じましょう。そして最初の作業に東電の社員は立ち会っていなかったとは驚きでした。常識も吹っ飛んでいる状況です。どういうことなのでしょう!作業の遅れや、膨大なリカバリー費用で原発村はいまだに潤っているこのおそろしさを感じてください。いまだ多くの人々がこのマネーに頼っている現状を考えましょう。

そんな中、ついに女川原発が再稼働を開始しました(※2)。福島と同型の沸騰型原子炉です。避難路も十分策定されていない状況の中でです。ついに東日本の東北電力で再稼働一番乗りで…

東京電力のこの惨状で、東北電力よ、ほんとに大丈夫かい?しかも、女川原発の建設が本格着工されてから45年も経っているのです。1号機の営業運転開始から数えても40年強、2号機の営業運転開始からは29年強経っています。考えられますか皆さん!カーボンニュートラルを促進する立場からの原発回帰は許されません。

世の中いくら「レトロ」が流行っていても、十分老朽化している建物内に十分老朽化している原子炉が入っています。昭和おじさんもびっくりです。再稼働で多額の交付マネー(税金ですよ!)貰って地獄へ突進まっしぐらです。多額のマネーとの引き換えでどんなしっぺ返しがやってくるのか、この恐怖。

東北電力女川原発2号機の再稼働を控えた10月9日の定例会見で、「東日本大震災級の規模の地震あるいは津波が来ても、(東京電力)福島(第一)原発のような事故は起こさないだろうと確信をもった(10/30 朝日新聞記事)」と事故がある前提で宮城県知事がお話してくださいました。何を根拠に確信もったの?じゃあ一体どんな事故になるの?どうやって避難すればいいの?

清涼感なんか通り越して心の中は厳冬期に入りました。

(2024/11/8 加筆)

この「ぼやき 恐ろしい原発回帰の動き〜昭和おじさんもびっくりの“レトロ”原発を再稼働した宮城県から〜」を投稿しようとした矢先に、東京電力福島原発のデブリ取り出し成功と東北電力女川原発再稼働停止のニュースが飛び込んで来ました。

(※1)東京電力は11月7日、小石状の溶融核燃料(デブリ)の試験的取り出しを完了したと発表しました。取り出されたデブリは5mm程度で重さは0.7gでした。2030年代に計画されている本格的な取り出しに向け、工法や保管方法などを検討するため茨城県の研究施設で分析・研究される予定です。1号機から3号機にはデブリが約880トンありますが、デブリの取り出しが廃炉工程の最難関とされています。死に至るような極めて強い放射線を放つため人が近づけないからです。また、格納容器内の底部に多くのデブリが堆積しているとみられますが、分布など全容はわかっていません。

(※2)東北電力は、安全対策と事故の際の広域避難計画ができたとして、2011年の東日本大震災以来停止していた女川原発2号機の原子炉を10月29日に起動させました。11月3日に発電を再開し、12月には商業運転を開始する予定でした。しかし、原子炉内に入れた計測関連機器が動かなくなるというトラブルが発生し、11月4日に原子炉を停止しました。現在のところ、再稼働に向けた今後のスケジュールは不透明です。

(文責:原発問題プロジェクト委員・浅原和裕)