被ばく線量非公表に 東電 事故でも「個人情報」 – 福島民報から(2/6付)

被ばく線量非公表に 東電 事故でも「個人情報」 – 福島民報から(2/6付)
出典:福島民報(2022年2月6日) ※一部画像処理をしています。画像をクリックすると拡大表示します。

原発問題プロジェクト 浅原委員のぼやき

2022年2月9日(水)米ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、世界で新型コロナの感染者は4億人を超え、世界の全人口76億人の5%強に及んでいるそうである。
しかも1週間で1億人の増加だとか。なんとも恐ろしい数字である。
他の国では感染のピークは越えたとか、減少傾向であるとか聞こえてくるが、わが国ではそのような状況にはなっていない。
やっぱりマスクは必要だとか、ワクチンについては3回目を打つとか、いつになったら打てるのかとか、モデルナはいや!ファイザーじゃないと!とか言っている現状で一向に先が読めない。
今後世界の爆発的人口増によりこの割合が「薄まる」のか?どうなのか?皆で用心を続けるしかないのでしょう。

さてこの「薄まる」に関して、福島県民である私は、原発の汚染された水を希釈して海に流す問題に触れずにはおられない。
だが、2月6日(日)の福島民報にあった「被ばく線量非公表に」の記事をよんで、さらにまた来たかと思われる情報隠蔽の動きにあきれるばかりであった。

作業中の事故による内部被ばくの線量を公表しないとする事の問題は実は深刻だ。
作業に従事する人々にとって廃炉作業は異常な危険を孕むものである。
今後万が一、重大な被ばく事故が起きても、「個人情報」を逆手に、その事実さえも知らされない恐れもある。
挙句の果てに、思い出したくもない放射能漏れと放射性物質の飛散が起こってしまうかもしれない。
それを遅れて公表?もしくは隠蔽される事態に繋がる。

作業従事者が内部被ばくをした場合、被ばく線量を公表するには本人の同意が必要とあるが、上から抑え込まれたらどうなるのか。
パワハラで沈黙することになってしまわないか。
個人情報の非公表により、「この事故は誤った作業をしたあなたのせいですよ。」と突き放されてしまうのではないか?

差別の問題もあり、作業従事者に対しての思いやりが必要だ。
誰もがやりたい作業ではない事を我々も改めて肝に銘じておく必要がある。

東電は、内部被ばく線量の公表は仲間内で個人が特定できてしまうため配慮を要するとし、権利侵害のない範囲での公表については社外アドバイザーに指摘されたとしている。
自社のみの判断ではないことを強調しているが、そもそも危険を孕む廃炉作業自体、作業員の不安を解消しながら進めるものではないのか。
だから膨大な時間をかけて取り組む計画を発表しているのではないだろうか。
まさか一点突破的な危険な作業を考えているのか?

また、内部被ばく線量の公表は事案ごとの判断だという経済産業省の静観の姿勢は、東電の隠蔽体質に輪をかけるもので、見過ごしてはならない。
一人の作業員の犠牲もあってはならない。
世の中がコロナ禍や冬季北京オリンピックの話に染まる中にそっと出てくるこの『東電 事故でも「個人情報」』の記事は何とも言えない不気味さをもって我々を包み込んでくる。

(文責:原発問題プロジェクト委員・浅原和裕 2022年2月9日記)